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GI昇格大阪杯で武豊7勝目なるか。
キタサンに思い出す、ある名馬。
posted2017/04/01 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
昨年の年度代表馬キタサンブラック(牡5歳、父ブラックタイド、栗東・清水久詞厩舎)が、今週の第61回大阪杯(4月2日、阪神芝内回り2000m、4歳以上GI)から始動する。
有馬記念のあと休養し、年明け初戦が大阪杯というのは昨年と同じだが、大きく異なるのは、今年から大阪杯がGIに昇格したことだ。
昨年の大阪杯では、初めて武豊を背に迎え、逃げ込みをはかるも首差の2着。それでも、次走の天皇賞・春に向けての理想的な試走となり、見事、盾を手中におさめた。
今年は初戦から「本番」となるわけだが、昨年、あれだけの成績をおさめて王座についたことにより、どんなときでも負けるわけにはいかない馬になった、と、陣営は考えているのではないか。
馬自身もそう意識しているかのように、調教の走りも、馬道の歩き方や顔つきにも、王者の風格が出てきた。
キタサンに思い出す、スーパークリークの安定感。
武とコンビを結成してから丸1年。今年の大阪杯がコンビ7戦目となる。
雄大な鹿毛の馬体。強靱な先行力。レールの上を走っているような安定感。その鞍上に武がいると、1988年の菊花賞で武に初めてのGIをプレゼントしたスーパークリークが思い出される。
スーパークリークは、父ノーアテンション、母の父インターメゾというスタミナ優先の配合だったが、'89年の天皇賞・秋では、ゲートからオグリキャップ以上のスピードを見せて先行し、勝利をおさめた。
キタサンブラックは、母の父がスプリンターのサクラバクシンオーでありながら、菊花賞と天皇賞・春という長距離GIを制している。
「ブラッドスポーツ」と呼ばれる競馬において、血の常識を打ち破る強さを見せている痛快さも、両馬に共通するところだ。