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「四球は恥」という神経質を捨てろ。
権藤博がWBCに用意する異端投球術。
posted2017/02/09 12:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
第2回は、権藤博投手コーチに侍ジャパンの投手陣の意識について語ってもらった。
コンディション不良で日本ハム・大谷翔平投手がメンバーから外れることが決まった侍ジャパン。大谷の代わりに新たにソフトバンクの武田翔太投手の代表入りが決まる中で、投手陣の活躍の成否を握るポイントはどこにあるのか。
日本代表・権藤博投手コーチがまず着手するのは、選手たちの意外な意識改革からだという。
――大谷投手の代わりにソフトバンクの武田投手の追加招集が決まりました。武田の招集に関してはどういう評価をしていますか?
「武田もレギュラーシーズンでは、黙っていても2ケタ勝てる投手です。代表での経験も豊富ですし、今回のメンバーを選ぶ際にも最後の最後まで候補に挙がっていたピッチャーでした。ただ、最終的には投手構成のバランスを考えた上で、メンバーから外れたという事情がありました。ですから大谷がいなくなった時点で、彼が入ってくるのは順当なところじゃないでしょうか」
武田のカーブのコントロールが心配。
――武田の魅力は?
「最近はカーブを武器にするピッチャーが少なくなってきているので、そういう意味では貴重なピッチャーだと思います。ただずっと見てきた中で、ここ最近ちょっとカーブのコントロールが悪くなっているのが気になっていた。カーブピッチャーというのはあの緩いボールを投げている間に、だんだん怖さを覚えてきて、大胆に投げられなくなっていく傾向があるんです。武田もそういう怖さを少し覚えてきたかな、というのがあった。昨年の強化試合でも、そういう傾向が見えましたから」
――ボールの影響ということはないですか? 特にカーブピッチャーは影響を受けやすいという声もありますが……。
「確かに以前に岸(孝之投手、楽天)とか、苦労をしたという話は聞いています。武田も昨年の強化試合では、立ち上がりに多少はそういう傾向があったかもしれません。ただ、去年からずっと練習して来ていますから、そういう言い訳は一切なしです。これは武田だけではなく、すべてのピッチャーに言えることですね」