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山田直輝の復活を誰よりも願う盟友。
1歳下の原口元気が「早く試合出ろよ!」
posted2017/01/30 11:00
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
「お前、何やってんだよ! 早く試合に出ろよ」
昨年末のオフ期間中、久しぶりに一緒にボールを蹴った浦和レッズユース時代の後輩は、人に気を遣うのが苦手なタイプ。開口一番からずけずけくる。J2に降格した湘南ベルマーレでレンタル3年目を迎える山田直輝は、1歳下の原口元気に生意気な口を叩かれても意に介していなかった。
「ずっと一緒にプレーしてきたし、社会人としては同期だから(笑)。昔の僕をよく知っているやつだし」
昨季、湘南でシーズン通してレギュラーだったとは言えないが、手応えをつかみつつある男は余裕の笑みを浮かべていた。
お前ならもっとやれるだろ――。
そんな、不器用な盟友の思いをくみ取っているようだった。
先に代表デビューを飾ったのは山田だった。
かつて浦和ジュニアユース、ユースでは息の合ったコンビプレーを見せて日本一に輝いた。トップチームに昇格したのも、同じ2009年シーズン。浦和では1年目から互いに脚光を浴び、切磋琢磨した。順調にキャリアを積み重ねた原口は2014年5月にドイツのヘルタ・ベルリンへ移籍し、2年目から苦難の連続だった山田は、2015年1月に期限付き移籍で湘南へ。今季でプロ9年目。別々のユニフォームを着て、戦うリーグもカテゴリーも違う。立場は大きく変わった。
「今の原口は日本代表のレギュラー。点まで取っている。僕が背中を追う側になった」
ひと足先に日本代表デビューを飾ったのは、山田だった。2009年5月27日。チリ戦の前半から途中出場すると、絶妙なクロスでいきなりアシストを記録。岡田武史監督(現・日本サッカー協会副会長)はその才能に驚きを隠さず、香川真司は、18歳ながら堂々とプレーする度胸に目を丸くした。