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「電通とFIFA」という怪物を読む。
W杯を巡るサッカービジネスの奥底。 

text by

伊野尾宏之

伊野尾宏之Hiroyuki Inoo

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photograph byWataru Sato

posted2016/12/15 07:30

「電通とFIFA」という怪物を読む。W杯を巡るサッカービジネスの奥底。<Number Web> photograph by Wataru Sato

巨大化するサッカービジネスとFIFAの実態を、「電通」という視点から捉え直す。

一連の流れはアベランジェが会長になったからこそ。

 著者の田崎氏によればサッカービジネスが巨大化する大きなきっかけを作ったのが、1974年のFIFA会長選挙でジョアン・アベランジェが勝ったことだった、という。

 最後にその言葉を引用して締めたい。

「'74年のFIFA会長選挙でアベランジェが敗れていれば、未だにサッカーは欧州と南米大陸のいくつかの国、世界の一部で熱烈に愛されるスポーツに留まっていただろう。欧州リーグにアフリカ人選手が急増することはなかった。また、100億円を超える移籍金が発生する選手も存在しないはずだ。

 何より、Jリーグというプロリーグが創設されることも、日本でワールドカップが開催されることも、本田圭佑や香川真司のような欧州で躍動する選手も出て来ることはなかったのだ」

 歴史はいつも、静かに、見えないところで動いていることをこの本は教えてくれる。

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