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「チームがいい時の歯車にはなれる」
原口元気が今目指すのは、その先。
posted2016/11/19 07:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Takuya Sugiyama
原口元気のW杯最終予選4試合連続ゴールが決勝点となり、サウジアラビアを下した直後のこと。日本代表のチームメイトが原口への賛辞を惜しまなかった。
守備を統率する吉田麻也はこう語った。
「ゲンキは4試合連続(ゴール)なので。非常に……すごいなと思います」
そこから清武弘嗣に触れた後に、DFのリーダーはこう続けた。
「これで競争がもっと激しくなれば、今まで出ていた選手もうかうかしていられないし、もっと若い選手にとっても刺激になると思う。チームにとって、非常に良い相乗効果が生まれてくる」
左サイドで原口とコンビを組んだ長友佑都はこうだ。
「元気があれだけ走ってくれるので、“オッサン”の僕は後ろでサポートしているだけで良いというくらいで。彼が、僕をサポートしてくれたんですよ。運動量も豊富で、あれだけテクニックもあって、すごい選手になっているなというのは僕も感じる。元気がいなかったら、僕はどうなっているかわからない(笑)」
少しくらいほめても、原口は天狗にならない。
彼らが原口を激賞したのは、1つにはもちろん、彼の活躍が一目瞭然のまばゆい煌きをはなっていたからだろう。あるいは、試合前からチームに漂う団結ムードがもたらしたポジティブな空気が、彼らを饒舌にした部分もあるだろう。
それと同時に、同じグラウンドにたっている彼らは、少しくらいほめたところで原口が天狗になるような選手ではないことを理解していたのではないだろうか。
10月26日から、筆者はドイツへと飛んだ。11月18日発売のNumber臨時増刊号の取材のためである。
練習場やスタジアムで取材をすすめていく過程で、原口が丁寧に話してくれたエピソードをいくつか紹介したい。