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「大迫は完璧だった」と語った岡崎。
それでも“代表の武器”との自負を。

posted2016/11/20 08:00

 
「大迫は完璧だった」と語った岡崎。それでも“代表の武器”との自負を。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

大一番で投入されたのは後半アディショナルタイム。それでも岡崎はチームの勝利のため、いつものように粉骨砕身した。

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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Naoya Sanuki

「久しぶりにこういう立場になって、燃え上がるものがある」

 サウジアラビア戦後のミックスゾーンで、岡崎慎司はその心境を語っていた。“こういう”というのは、先発ではなく、ベンチスタートという立場のことだ。彼の言葉によれば、その兆候は「(昨年11月のW杯アジア2次予選の)シンガポールでのアウェー戦から感じていた」という。

 この試合で先発を外れた岡崎は途中出場もせずに試合を終えた。ハリルホジッチ体制では初めてのことだった。続くカンボジア戦ではキャプテンマークをつけて先発出場したものの「監督が俺に満足していないんだろう」という思いが消えることはなかった。

 今年9月に始まったアジア最終予選。初戦UAE戦で先発した岡崎だったが、続くタイ戦はベンチスタートで出場機会がなかった。10月のイラク戦ではスターティングイレブンに選ばれるも、アウェーのオーストラリア戦ではベンチで試合を見守るだけだった。

 そして11月の親善試合オマーン戦でもベンチスタート。後半16分にこの日2ゴールを挙げた大迫と交代出場したが、浅野、久保、原口らが投入されると、岡崎のポジションはトップ下へと下がった。

 そして、前がかりに攻めようとする攻撃陣と守備陣とのつなぎ役を務めるだけだった。

「アピールよりも、チームが良くなるプレーを」

「自分をアピールしたいという気持ちもあるけれど、チームが良くなるようなプレーをしたいというふうに考えている。それをいま、俺は迷いなくやれている。もちろんそのプレーがFWとしての評価に繋がるかはわからないけど」

 オマーン戦後、そんな風に岡崎は語った。現状を分析し、自身の気持ちをポジティブな方向へと向かわせようとしていたのだろう。結果がすべての競争社会。結果を出せなかった人間は、その現状を受け入れなければならない。ただ、そこには当然葛藤もある。

 溢れ出るように言葉を重ねる岡崎は、まさにその葛藤の最中にいるんだろうと思った。

 実際、彼は「監督からの信頼を得るには、ゴールを決めることしかない」と数カ月前に話していたのだから。

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