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マカヒキは「強い馬ほどよく眠る」!?
ダービーの朝も眠そうな大物ぶり。
posted2016/05/30 11:40
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
前評判どおり、ハイレベルな激戦となった第83回日本ダービー(5月29日、東京芝2400m、3歳GI)を制したのは、川田将雅が乗る3番人気のマカヒキ(牡、父ディープインパクト、栗東・友道康夫厩舎)だった。好天のもと良馬場で行われ、勝ちタイムは2分24秒0。2013年に生まれたサラブレッド6913頭の頂点を決める「競馬の祭典」に、14万人近い大観衆が熱狂した。
おおかたの予想どおりマイネルハニーが逃げ、1000m通過は1分ちょうど。数字のうえでは平均ペースだが、このメンバーを考えるとスローとも言える。
そんな流れのなか、好位につけた有力馬は武豊のエアスピネルだけだった。1番人気のディーマジェスティ、2番人気のサトノダイヤモンド、マカヒキらは中団、スマートオーディンはその後ろ、リオンディーズはさらに後方に待機した。
最後の直線、持ったままで押し上げたエアスピネルが、ラスト400m地点で武のゴーサインを受けてスパート。ラスト300m地点で先頭に立ち、そこから後ろを突き放しにかかる。そのまま脚を伸ばし、ラスト200m地点を通過。武の6度目のダービー制覇が、すぐそこに近づいているように思われた。
皐月賞の上位5頭の着順を入れ替えただけの結果。
例年ならここで勝負が決まり、エアスピネルが勝っていただろう。
しかし今年は、もうワンランク上の脚を使う馬がいた。それも3頭も、だ。
外から追い込んできたマカヒキとサトノダイヤモンド、そしてディーマジェスティが、並ぶ間もなくエアスピネルをかわし、さらに伸びて行く。
他馬とは異なる次元に突入した3頭だけの戦いが始まり、半馬身ほど前に出たマカヒキに、サトノダイヤモンドが並びかけたところがゴールだった。
勝ったのはマカヒキ。サトノダイヤモンドはハナ差の2着。ディーマジェスティは半馬身差の3着。エアスピネルはそこから2馬身離された4着。リオンディーズはさらに半馬身差の5着だった。
皐月賞の上位5頭の着順を入れ替えただけという、珍しい結果(1984年のグレード制導入後初)になった。