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カメラマンが呟いた「うん、完璧」。
藤田菜七子騎手の緊張撮影秘話。
posted2016/05/19 12:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Makoto Hada
12年ぶりに日本ダービーを特集するNumber902号では、「日本ダービーで勝つことが夢」と語る藤田菜七子騎手と、'87年にメリーナイスで優勝した師匠の根本康広調教師の対談を掲載している。今回は、対談取材の際に行なわれた菜七子騎手の撮影風景を紹介しよう。動画も特別に公開!
撮影はGW真っ只中の5月3日、美浦トレーニング・センター内の根本厩舎で行なわれた。
「お待たせして、申し訳ありません」
先の土日に騎乗した馬を預かる厩舎に挨拶まわりを終え、菜七子騎手は自転車に乗って厩舎に戻ってきた。対談の司会進行役を務める競馬ジャーナリストの片山良三氏は、「最近はきちんと厩舎に挨拶まわりをする騎手も少なくなってきたけど、やっぱり根本先生のところは指導が行き届いているね」という。
「撮影とか、まだ全然慣れないです」
春のやわらかな光の中、撮影が始まったのだが、菜七子騎手の表情は若干の硬さを残したまま。騎手免許を取得してからというもの、取材が殺到して多くのメディアに登場しているので、こうした撮影にも慣れてきているのかと思ったが、「撮影とか、まだ全然慣れないですね」と目をしばたたかせる。
今回の撮影をお願いしたのは羽田誠氏。FUNKY MONKEY BABYSのCD、RADWIMPSのDVDジャケットなどの撮影を手がけ、Numberでは872号の「原色美女アスリート図鑑」でも協力してもらっている。自然光のなかで柔らかい表情を切り取る手腕を見込んでのことだ。
馬と並んで撮影するころになって、ようやく緊張がほぐれたのか、純朴で透き通った笑顔が見られるようになった。撮影現場のまわりでは調教助手や厩務員の方々が、しきりに菜七子騎手に声をかける。
「菜七子、ニンジン持ってきてやろうか? ニンジン食べさせながら写真とったら、おもしろいだろう」