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絶対能力、ハイペース、戸崎の騎乗。
ストレイトガール連覇の背景を探る。

posted2016/05/16 11:20

 
絶対能力、ハイペース、戸崎の騎乗。ストレイトガール連覇の背景を探る。<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

マイラーというよりもスプリンター、という気配の強いストレイトガールだが、強い勝ち方での連覇となった。

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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Yuji Takahashi

 レース史上最多の7頭のGI馬が集結した第11回ヴィクトリアマイル(5月15日、東京芝1600m、4歳以上牝馬GI)は、戸崎圭太が騎乗した7番人気のストレイトガール(7歳、父フジキセキ、栗東・藤原英昭厩舎)による連覇で決着した。

 レースを引っ張ったのはレッドリヴェールだった。逃げて重賞を連勝していた武豊のスマートレイアーは2、3番手。

 前半4ハロン(800m)通過が45秒7。後半4ハロンのタイムが45秒8。前半と後半の数字が近いという意味ではイーブンペースだったが、前週、同じコース(内埒が今回のBコースより3m内側にあるAコースだったが)で行われたNHKマイルカップのそれは46秒0-46秒8だったから、古馬と3歳の違いを加味しても、かなりのハイペースだ。

 追い込み馬に有利な流れであるから、ハナに行かなかった武の選択は正解だった。それでも、直線抜け出しかけたところで、後ろに控えていた馬たちにかわされ、4着に終わった。このスマートレイアー以外の先行馬が総崩れになったことが、「激流」だった証である。

馬群が割れるのを待った戸崎の見事な騎乗。

 中団に控えたストレイトガールは、直線、ぽっかりあいたスペースから抜け出し、2着を2馬身半も突き放した。

「手応えが抜群で、ステッキがいらなかったぐらい。7歳にしてこれだけのパフォーマンスですから、頭が下がります」と戸崎。

 スローペースだと全馬が余力を残しているので、直線でも馬群が密集して隙間ができづらくなる。しかしハイペースだと、直線で馬群がバラけるのでスペースが生じやすい。

 ストレイトガールは激流を上手く味方につけたわけだが、前が詰まりそうになっても、馬群が自然に割れるまで冷静に待っていた戸崎の騎乗も見事だった。

 ヴィクトリアマイルを連覇したのは2013、14年のヴィルシーナ以来2頭目。7歳牝馬によるJRA・GI勝利は史上初のことだ。

 昨年12月の香港スプリント(9着)で引退する予定だったが、廣崎利洋オーナーから藤原英昭調教師に現役続行の打診があった。藤原師は即答せず、「少し時間をください」と答えたが、年明けに現役続行を決断した。

【次ページ】 スピード勝負でこそ物を言うマイル適性。

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ストレイトガール
戸崎圭太

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