サッカーの尻尾BACK NUMBER

元フィジカルコーチが語る日本代表。
驚いたのは乾、武藤、そしてヤット!? 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byTomoki Momozono

posted2016/03/31 10:40

元フィジカルコーチが語る日本代表。驚いたのは乾、武藤、そしてヤット!?<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

日本代表にとってフィジカルというのは常に頭の痛い問題だった。そこに別角度から光を当てたイリバレンの功績は大きい。

素材も、施設も問題ない。足りないものは?

「日本の教育、そして生真面目さが出ていると感じました。これほどフィジカルについて考える選手は、欧州にはあまり多くありません。

 そして日本にはトップレベルの設備もあります。我々もお世話になったJISS(国立スポーツ科学センター)は設備、人材の両面で、世界でもトップレベルです。欧州や米国の施設も見てきましたが、フィジカルをサポートする点でも最先端と言えます」

 フィジカル向上の重要性については、霜田正浩技術委員長や長友が、日本サッカーが強くなるための鍵だと指摘している。イリバレンは日本人のフィジカル、その素材に関しては問題はないという。施設もサポートも最先端だ。彼が唯一足りないと感じたのは、Jリーグにおける激しさや厳しさだった。

「世界中に“日本サッカーは急成長している”という、何年も前から言われている共通見解があります。しかし、日本はワールドカップでなかなか先に進めない。これはなぜなのか。少なくともフィジカル面では、日本人はアスリートに向いています。スピードと持久力という明らかな特長があり、日本人特有の真面目さや規律もあります。素材には何も問題はない。これが私の出した結論です。

 世界のトップ10に入るには、さらに多くの選手が欧州でプレーすること。これしかありません。すでに代表の大半は欧州にいますが、もっと出ていくべきです。視察で多くのJリーグの試合を見ましたが、時にショーやお祭りを見るような空気がスタジアムに流れていて、違和感を感じたことがあります。サッカーに対する捉え方の違いですね。よく言えば相手へのリスペクト、悪く言えば甘い。その空気はピッチ上の選手に伝わるんです。欧州や南米には、競争と激しさ、喜びに怒りがあります。死ぬ気で相手がぶつかってくる環境でプレーすること。それは単なるフィジカルの数値を超えたところで、さらなる一歩を加えてくれるはずです」

リオ五輪予選での手倉森監督の手法にも彼の影響が?

 イリバレンはアギーレとともに、今も日本代表や五輪代表、Jリーグの試合を衛星放送で追っている。リオ五輪での日本も、鍵はフィジカルになるという。

 リオ五輪アジア最終予選、手倉森誠監督は個々のフィジカル・コンディションを最優先し、疲労を考慮しながらメンバーを回して戦った。イリバレンの考え方に通じる部分は今も流れている。

「当時、我々のアシスタントを務めてくれたテグさん、スタッフたち、そして日本代表GKコーチのリカルドに、よろしく伝えてください。五輪出場おめでとうと。現代サッカーで結果を出すには、フィジカル面で完璧な準備をすることは、もはや不可欠です。リオでの活躍、期待しています」

関連コラム

<< BACK 1 2 3 NEXT >>
3/3ページ
関連キーワード
フアン・イリバレン
ハビエル・アギーレ
遠藤保仁
乾貴士
武藤嘉紀

ページトップ