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金字塔間近の佐藤寿人と大久保嘉人。
福西崇史が語る中山雅史との共通点。

posted2016/02/24 10:40

 
金字塔間近の佐藤寿人と大久保嘉人。福西崇史が語る中山雅史との共通点。<Number Web> photograph by J.LEAGUE PHOTOS

ゼロックス・スーパー杯で見せたゴールには、スペースを生み出して飛び込む、佐藤寿人らしさが凝縮されていた。

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福西崇史

福西崇史Takashi Fukunishi

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「158」の金字塔にいち早く到達するのは佐藤寿人か、大久保嘉人か――。2月27日に開幕するJリーグディビジョン1の最注目カードはサンフレッチェ広島vs.川崎フロンターレだ。森保一監督が率いた4年間で3度リーグ王者に輝く円熟のスタイルと、風間八宏監督のもと磨き上げた攻撃的なコンビネーションの激突となるが、前述した2人のJ1通算ゴール記録の更新にも注目が集まる。
12年連続でリーグ戦2ケタ得点を挙げている佐藤と、昨季3年連続J1得点王に輝いた大久保。ともにJリーグ記録を打ち立てたゴールゲッターの力を、現役時代には対戦相手として同じピッチで戦ったこともある元日本代表MF福西崇史氏が解説する。

 まず佐藤選手、大久保選手の共通点として「ゴールを奪うために、どんな準備をするべきか」を常に考えている。これはストライカーとして一番大切な姿勢です。だからこそシュートコースが見えたら思い切りよく打てるし、こぼれ球にいち早く反応できるなど、様々なゴールパターンを持っているのです。

 その「ゴールを奪うための準備」の中でも、それぞれが長年磨いてきたストロングポイントを発揮することで、得点を積み重ねています。

 ふたりともボールを受ける前のアクション、オフ・ザ・ボールの動きが抜群に上手いのですが、細かく見てみるとその特徴が違うことが分かります。言葉で表現するなら「動き続けて相手の隙を見逃さない」佐藤選手、「ここぞというタイミングでパワーを全開にする」大久保選手、という感じでしょうか。

動いてスペースを生み出す佐藤寿人。

 まず佐藤選手から説明しましょう。彼は動きながらピッチ上のスペースを探し出すポジショニングで、相手をかわすことを意識しています。

 その例が、富士ゼロックス・スーパー杯での先制ゴールでした。右サイドの塩谷(司)選手からのアーリークロスを左足ダイレクトで決めましたが、佐藤選手の動きに注目してみると、その工夫が分かります。クロスが上がる前は相手最終ラインより前方にいましたが、一度戻ってから再びゴール前へと動き直します。それによって佐藤選手はG大阪のマーカーからフリーになると同時に、クロスに対して絶妙のタイミングで飛び込んでいます。最終的に自分が飛び込みたいスペースを空けるために、動き続けることでゴールを奪う。ワンタッチゴールの多い佐藤選手らしさが凝縮されていました。

【次ページ】 “わざと止まる”こともある大久保嘉人。

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