サムライブルーの原材料BACK NUMBER
齋藤学がメッシとネイマールを盗む!
最大の武器ドリブルを現在改造中。
posted2016/02/16 10:30
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
J.LEAGUE PHOTOS
名は体を表す、とは良く言ったものだ。
ハマのメッシこと齋藤の名は「学」。彼は、「学ぶ」姿勢を大切にする。
2月4日、横浜F・マリノスは宮崎のシーガイアで第2次キャンプをスタートさせた。ブルーのジャージーに身を包む齋藤の動きの良さはひと際目立っていた。
実戦練習でのプレーを見ていると、昨季までのイメージとはちょっと違う。グッグッというよりも、スッスッ。そう、持ち味である相手を切り裂く鋭いドリブルを「剛」から「柔」のほうに、意識的に近づけているような印象を受けた。
ブラジルW杯以降、A代表からは遠ざかっているとはいえ、その能力と実力は誰もが認めるところ。昨年12月にはハリルジャパンのミーティングに呼ばれ、代表復帰も現実味を帯びてきていると言っていい。
栄養、トレーニング理論など彼の知識は実に豊富だ。書物などから学び、良いと思ったものは積極的に取り入れてみたうえで自分に合うか、合わないかを決めている。また何か新たなチャレンジを始めていることは、一目瞭然だった。
武器であるドリブルを、前傾から「いい姿勢に」。
練習を終え、ファンサービスも時間をかけてこなしていた。
すっかり陽が傾いて寒風吹くキャンプ地のピッチを背に、彼は充実した表情をこちらに向けた。
「自分の姿勢はこれまで常に前傾でした。でもメッシを見ても、ネイマールを見てもドリブルしているときの姿勢が実にいいんです。前傾すぎてもいけないし、後傾すぎてもいけない。今はそのベストポジションを探している」
確かにこれまでの齋藤は、前傾姿勢のドリブルで打開を図ってきた印象がある。馬力と高い回転数から、自然とこの形になっていったに違いない。だがその自分で築いたものを一度疑い、知識から落とし込んで世界のトッププレーヤーと比較することで変化させようとしていた。上体を起こして腰を立てた状態で、スピードを落とさずに走る。確かに「姿勢がいい」という言葉がピタリとはまる。