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歴代“山の神”で紐解く5区の重要性。
アナウンサーの新称号にも期待!?

posted2015/12/27 10:40

 
歴代“山の神”で紐解く5区の重要性。アナウンサーの新称号にも期待!?<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

前回、1時間16分15秒の驚異的な走りで5区を制した神野は、その後、相次ぐ故障に苦しんだ。箱根最後の年、どんな走りを見せてくれるのか。

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金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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 2016年の箱根駅伝はいつにも増して話題が豊富だ。

 まずは優勝争いが気になるところ。前回、驚異的な大会記録を作った青山学院大が二連覇なるか?

 今年も圧倒的な戦力を持つ青山学院が、まずは初戦である出雲駅伝を制した。

 その勢いであっさりと三冠に王手するかと思いきや、第2戦の全日本大学駅伝は東洋大が逃げ切り優勝、青山学院大の三冠を阻んだ。走りもマスクもいい服部兄弟が1区2区でタスキをつなぎ駅伝ファンを唸らせた。3区で区間賞を獲った口町の個性的な走りも光る。

 もちろん、箱根に関してはかつての王者駒澤大学も黙っちゃいない。

 名将大八木監督は、8年ぶりの優勝を狙うプランを練っている。前回の箱根、山登りの5区でフラフラになり悲劇の主人公になったのは馬場。その馬場は、全日本で区間賞を東洋大と青山学院大から奪い取り、箱根でのリベンジを密かに狙う。

 そして、もちろん話題の中心は、優勝のキーマン“新山の神”神野大地(青山学院大)だ。神野が疲労骨折の故障からどれだけ回復したか? がライバル校の最大関心事である。

 それぞれが、ストーリーをもちキャラがたつ役者揃いである。脚色された生半可なスポーツ小説よりよほど面白い。

 専門家として戦力分析を頼まれることは多いが、5000mや10000mの平均ベストタイムの比較では語り尽くせない面白さが今回の箱根駅伝にはある。そう“分析”せざるを得ない。

“山の神”は日テレのアナウンサーの絶叫が発祥。

 さて、勝敗のカギになりそうな“山の神”について考えてみる。

“山の神”の初代は、順天堂大を優勝に導いた今井正人(トヨタ自動車九州)である。

 2007年の箱根駅伝で日本テレビのアナウンサーが今井選手につけたのが“山の神”という呼び名。今井がフィニッシュするとき「山の神、ここに降臨」と絶叫し、全国に知られるようになった。

 スポーツアナウンサーは日頃から言葉のセンスを磨いている。

 事前にいくつかのキーワードやコメントを書き留めておき、生中継で披露するのだ。特に箱根駅伝は日本テレビのアナウンサーが一年がかりで綿密な取材を行う。本番では膨大な取材メモの一部しか披露できないが、“山の神”のような後世に残るコメントはアナウンサー冥利につきるだろう。

【次ページ】 社会現象になった柏原、その記録を破った神野。

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