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「新チーム美香」を結成した宮里美香。
専属キャディー&トレーナーの秘密。
posted2015/09/18 10:45
text by
小林由加Yuka Kobayashi
photograph by
Shizuka Minami
昨シーズン、アメリカ挑戦6年目にして初めてシード権を失うという悔しい思いをした宮里美香。しかし、それを払拭するかのように今シーズンはトップレベルの安定したショットとパッティングで序盤から成績を残している。
その裏には宮里が絶対的な信頼をよせる、新「チーム美香」の存在があった。
2年前から宮里のバッグを担いでいるのは、石川遼のキャディーも務めていた加藤大幸。加藤が担当する以前の4年間は、アメリカ人キャディーとツアーをまわっていた。宮里は高校卒業後にアメリカへ渡ったこともあり、日常生活での英語は問題ないが、「私はフィーリング派なんです」と話すゴルフとなると、細かいニュアンスが伝わりにくかったという。そんな時に出会ったのが加藤だった。
日本語で受ける的確なコースマネージメントに「自分のゴルフについてよく分かってくれているので、色々引き出してくれます。ショットのイメージを伝えてくれるんですが、それがすごく分かりやすい。絶対的信頼をよせています」と宮里。「迷いが出てきそう」とあえてラウンド中はコースの詳細が書かれたヤーデージブックを持たない主義だが、それも加藤への絶対的な信頼があるからこそだ。
今季、全米2位と安定したパッティング。
パッティングは加藤の加入で劇的に変わったものの1つだ。
加藤とタッグを組むまでは、全米女子で戦う多くの選手と同様にラインは1人で読み、迷った時だけキャディーに相談していたが、今ははじめから2人でグリーンに挑む。
カップを4つに分け狙いを定めるなど、より細かい分析が可能になり、ラインが分からなくなった時に陥りがちだった“アバウトさ”が一切なくなったという。さらに今年、加藤が「まっすぐ引いてまっすぐ下ろすにはこれ!」と選んだのは、宮里の自宅ガレージに眠っていた、これまでよりも長くて重いパター。使い始めると見る見るうちに効果が現れ、今季1ラウンド当りの平均パット数は28.89と全米女子で堂々の2位にまでに跳ね上がった(9月16日現在。以下全て同様)。
昨季、苦しみ抜いたコンディションニング。
昨季、宮里は不調でもないのに結果が出ない葛藤をブログなどで明かしていた。その理由の1つは、コンディションを維持するのが難しい米ツアーの過酷な環境にあったという。その経験から昨年オフにした決断が、シーズンを通して専属トレーナーを帯同させるということだった。
ゴルフ界、特に全米女子ツアーではトレーナーを共有している選手達が多い。だが宮里は専属トレーナーとして、テニス界でその名が知られ、ゴルフ界では諸見里しのぶが6勝した'09年にケアを担当していた名トレーナー・工藤健正と正式に契約を結ぶことにした。
先に述べた加藤と工藤が加入し、晴れてここに新「チーム美香」が誕生。2015年シーズンの1年間、共にツアーを回ることになった。