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武藤嘉紀が早くもホットライン完成!
ブンデス初得点にいたる3つの要素。
posted2015/08/31 12:30
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
AFLO
花が開くまでにはいくつもの要素が必要であるように、1人のサッカー選手の取り組みが1日にして成し遂げられることなどありえない。
だから、8月29日にマインツの武藤嘉紀のプレーが衝撃と賞賛をもって受け入れられることになったのも、運に左右されたわけでもなければ、この試合の直前に特別な何かがあったからでもないのだ。
ハノーファーとの試合にセンターフォワードとして出場した武藤は前半16分、DFラインの裏に飛び出して初ゴールを決めた。その13分後には、自らの突破がきっかけとなって得たCKから、この試合2点目をマーク。後半には相手のセンターバックに強烈なプレッシャーをかけ、パスミスを誘発させた。そのパスをマリがカットして、そのままドリブルで相手陣内を切り裂き、ゴールを決めた。
この一連のプレーについてシュミット監督は「あれはヨシのアシスト」だと表現した。
1点目に凝縮された3つの武藤の取り組み。
中でも1点目にこそ、武藤のこれまでの取り組みが凝縮されていた。
ペナルティエリアの手前で左MFのサンペリオが出したパスに、武藤が反応。DFラインの裏でボールをうけて、左足でシュートを決めた。
言葉で表現すればそれだけで事足りるが、その初ゴールが生まれた要因はどこにあったのだろうか。
その1つ目は、ハノーファーの「弱点」を突いたことだ。
昨シーズンから、ハノーファーのDFラインは問題を抱えていた。しばしば、ラインがバラバラになってしまうのだ。だから、DFの間のギャップを相手につかれたり、オフサイドを取りそこねる。マインツのシュミット監督はボルシアMG戦の武藤のパフォーマンスに満足して、この試合でも続けてスタメンで送り出したわけだが、当然ながらハノーファーのスカウティングをする過程でこの弱点は頭に入っていた。武藤のスピードと動き出しが、活きる試合だと。