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ファンハールが見誤ったものは何か。
システム変更、選手補強、プレミア。 

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田邊雅之

田邊雅之Masayuki Tanabe

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posted2014/10/02 10:40

ファンハールが見誤ったものは何か。システム変更、選手補強、プレミア。<Number Web> photograph by AFLO

昨季終盤に暫定監督を務めたライアン・ギグスコーチと、ファンハール監督。優勝を目標に掲げ、CL出場権獲得は至上命題だったユナイテッドは果たして浮上できるのだろうか。

 マンチェスター・ユナイテッドの受難が続いている。

 プレミアにおける6節終了時点での成績は、2勝2敗2分けの勝ち点8で7位。昨シーズンの同時期は12位だったことを考えれば幾分ましなように映るが、ここにはからくりがある。

 昨シーズンのユナイテッドは、6節までにチェルシー、リバプール、マンチェスター・シティといったビッグクラブとの試合を経ている。これに対して今シーズンは、逆にバーンリー、QPR、レスターと昇格組との対戦が3試合も含まれている。日程が発表された際、ライバルチームのサポーターは「ユナイテッドとファンハールに便宜を図る為に、プレミア側が楽なカードを組んだのではないか」と陰謀説を口にしたほどである。

 シーズンが開幕した時点では、10月5日のエバートン戦に臨む頃には、ユナイテッドは首位、最悪でもCL圏内に楽に食い込んでいるだろうという見方が支配的だった。だが結果はご覧の通り。夏の移籍市場で1億5000万ポンドに及ぶ超大型補強を行なっただけに、期待はずれ感はなおさら強い。かくして針の筵に座らされているのが、監督のファンハールだ。

選手とシステムを同時にかえる、リスクの大きな手法。

 現在展開されているファンハール批判は、いくつかの論点に集約される。

 まずは、チーム作りの根本的なアプローチに関する疑念だ。

 新たな監督がチームに梃入れしようとする場合、選手の顔ぶれは変えずにシステムだけを変更するか、システムは従来のものを踏襲して選手を替えるか、いずれかの方法を採るケースが多い。理屈で考えれば選手を入れ替えつつシステムも組み替えるやり方もあるが、あまりにもリスクが大きいため、この方法を選択する監督は少ない。そして、ファンハールが選んだのは、この最もハードルの高い方法だった。

 選手の入れ替え方にも問題がある。ファンハールは攻撃的な選手としてファルカオやディ・マリア、中盤ではエレーラやブリント、ディフェンスラインにルーク・ショーやロホなどを獲得している。一見すると満遍ない補強に映るが、実はバランスは良くない。チームに残留しているメンバーを加えて考えれば、攻撃的な選手ばかりが多く、中盤以降は能力的にも経験値的にも明らかに見劣りする。

【次ページ】 「ファンハールはプレミアのレベルを見くびっている」

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