沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
レコードで二冠達成のドゥラメンテ。
陣営が凱旋門賞に慎重な理由とは。
posted2015/06/01 11:45
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
これほど圧倒的な強さで他をねじ伏せる馬を、久しぶりに見た気がする――。
単勝1番人気のドゥラメンテ(牡、父キングカメハメハ、美浦・堀宣行厩舎)が第82回日本ダービー(5月31日、3歳GI、東京芝2400m)をレースレコードで制し、皐月賞につづく二冠制覇をなし遂げた。
週間天気予報ではずっと傘マークがついていたのだが、幸いその予報は外れ、絶好の競馬日和となった。
13万人近い観衆が見守るなか、フルゲート18頭の若駒がゲートを飛び出した。全馬ほぼ横並びのスタートだったが、6番のポルトドートウィユが立ち遅れ、最後方からの競馬となった。
横山典弘が出鞭をくれて、スタンド前でミュゼエイリアンがハナに立った。3番のコメート、外枠から出たキタサンブラック、スピリッツミノル、タガノエスプレッソらが差なくつづく。
皐月賞から一転、積極的なレース運びのドゥラメンテ。
単勝1.9倍の1番人気に支持された、ミルコ・デムーロのドゥラメンテは中団の8番手につけている。後方待機策をとった皐月賞から一転して積極的なレース運びとなった。
「1、2コーナーはちょっと掛かった。この馬はテンションが高いので、そこが一番大事」とデムーロは言うが、制御不能なほど行きたがったわけではない。ポジションをとりに行ったときには、どの馬にもよく見られる程度の掛かり方だった。
その内に、1枠1番から出たサトノラーゼンがいる。「内枠を利用してスムーズに走ることができた」と騎乗した岩田康誠。
1馬身半ほど後ろにレーヴミストラルら3頭、直後に2番人気のリアルスティール、3番人気のサトノクラウンといった有力馬がつけている。
ミュゼエイリアンが単騎逃げの形に持ち込んで向正面に入った。
先頭から最後方まで20馬身ほどと、やや縦長になった。
中団の前につけたドゥラメンテは、デムーロが重心を後ろにして手綱をガチっと抑えているが、掛かっているというより「溜めている」といった感じの走りだ。すぐ内のサトノラーゼンも同様に、引っ張り切れないほどの行きっぷりを見せている。