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レコードで二冠達成のドゥラメンテ。
陣営が凱旋門賞に慎重な理由とは。  

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byYuji Takahashi

posted2015/06/01 11:45

レコードで二冠達成のドゥラメンテ。陣営が凱旋門賞に慎重な理由とは。 <Number Web> photograph by Yuji Takahashi

ドゥラメンテは一番人気にこたえてダービーレコードでの完勝。騎乗のミルコ・デムーロは馬上で涙を抑えることはできなかった。

直線入り口、ドゥラメンテが手前を変えると……。

 1000m通過は58秒8。数字のうえではハイペースだが、絶好の馬場コンディションを考えると平均ペースといったところか。

 3、4コーナー中間の勝負どころでも大きな動きはなかった。ドゥラメンテのデムーロはまだ手綱を抑えている。

 4コーナーを回りながら後続が差を詰めてきて、馬群がかたまり出した。

 直線入口、ドゥラメンテが早めに右手前に替えて、少し内に切れ込むようにしながら一気に加速した。ラスト400m地点での伸びは、すでに他馬を圧倒していた。

 坂を上り切ったラスト300mあたりでまた左手前に替えながら、内で粘る馬たちに並びかけ、そしてかわした。

 内からサトノラーゼン、外から同馬主のサトノクラウンらが脚を伸ばしてきたが、今回は手前を「得意の」左手前にスイッチするタイミングが早かったせいか、そのときにはさらにスピードに乗っており、追いつかれそうな気配はまったくなかった。

 皐月賞のように横っ飛びして鞍上や見る者たちを驚かせたり、ハラハラさせるところはどこにもない、危なげない走りで、ドゥラメンテはダービーを制した。

堀調教師「ゴールシーンをはっきり思い出せない」

 1馬身3/4差の2着はサトノラーゼン、鼻差の3着はドゥラメンテと同じ堀調教師が管理するサトノクラウン、4着はリアルスティール。これら4頭はすべてノーザンファームの生産馬である。

 勝ちタイムの2分23秒2は、2004年のキングカメハメハ、'05年のディープインパクトの2分23秒3を10年ぶりに更新するダービーレコードだった。

「すごいね、嬉しい。初めて乗ったときからネオユニヴァースに似ていると思っていたけど、ネオより切れる。日本の騎手になってよかった。すごく感動した」と、'03年のネオユニヴァース以来2度目のダービー制覇をなし遂げたデムーロは言った。

 管理する堀調教師にとっては今回がダービー初勝利だった。

「サトノクラウンと両方を見ていたので、平常心でいたつもりなのですが、ゴールシーンをはっきり思い出せない。ということは、舞い上がっていたのかもしれませんね。(管理馬が)荒々しいと言われることは、我々スタッフとしては恥ずかしいことです。きょうはそんなに荒々しくなかったと思うのですが、いかがでしょうか」と笑顔を見せた。

【次ページ】 M・デムーロ「凱旋門賞もチャンスはある」

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