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山田章仁が見せつけた“海外組”の存在感。
~ラグビー日本代表に増す競争原理~ 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byNobuhiko Otomo

posted2015/05/21 10:00

山田章仁が見せつけた“海外組”の存在感。~ラグビー日本代表に増す競争原理~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

「なかなか日本代表でやる機会はないので、しっかりボールを繋ぐことを意識しました」

 山田章仁は落ち着いた口調で言った。5月2日、秩父宮ラグビー場で行われた香港代表戦に80分間フル出場。先制トライを含む2トライをあげ、ディフェンスでも素早い攻守の切り替えで相手を封じ、41-0の完勝にジャパンを導いた。

 山田のジャパンへの合流は、僅か1週間のスポット参加だった。今春、スーパーラグビー(SR)の豪州チーム、フォースに期限付き移籍。だがここまで、シーズン10戦では出場機会がなかった。

「力の差は感じないんですが……焦りですか? 焦って出られるんなら焦りますけど、そういうことでもないので」

 山田は明るい声で言った。チャンスを得られないことを嘆いても始まらない。そして、試合に出られなくても、最高峰リーグに身を置く価値はある。

「フォースで感じるのは、練習の始まりからすべてにおいてアグレッシブなところ。トップリーグと同じように、SRでの練習も自分の自信になっています」

海外から招集された選手に対する、国内組の“矜持”。

 今回は、2試合を行うフォースのNZ遠征メンバーから外れたことで、その1週間強を日本代表合宿への一時合流に使おうと考え、自ら志願。直行便のないパースから、片道15時間近くかけてやってきたのだ。そして魅せたのが80分間のフルパフォーマンス。

「山田はフィジカル面が強くなっているし、テストマッチを戦うときに何が必要なのかを理解している。ボールを持っていないときにハードワークをしていた」

 エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)はそう称えた。今春は山田のほか田中史朗、稲垣啓太、松島幸太朗、ツイ・ヘンドリック、リーチ・マイケルがSRに挑戦している。彼らも山田同様に進化しているはずだが、一方で、国内残留組をまとめるFB五郎丸歩からは刺激的な言葉も聞いた。

「SRから戻った選手がそのまますんなりとポジションを取れるようじゃ、チームにとってよくない。その憤りを持っている選手が何人いるか」

 山田は香港戦を終えSRに戻った。国内組は宮崎でハードな合宿を続ける。W杯に出るためだけではない。結果を出すためのサバイバル戦は、これから佳境だ。

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