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マラソン日本記録にボーナス1億円!?
空前絶後の高額賞金の裏側に迫る。 

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金哲彦

金哲彦Tetsuhiko Kin

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photograph byAFLO SPORT

posted2015/04/09 11:00

マラソン日本記録にボーナス1億円!?空前絶後の高額賞金の裏側に迫る。<Number Web> photograph by AFLO SPORT

現在の日本記録は、男子は2002年のシカゴマラソンで高岡寿成が出した2時間6分16秒、女子は2005年のベルリンマラソンで野口みずきが出した2時間19分12秒。

 マラソンの日本記録に1億円のボーナス!?

 しかも、指導者まで5000万円もらえる!

 これはもしかしたら、日本スポーツ界で空前絶後の出来事かもしれない。それくらい衝撃的なニュースだったのだ。

 まず、気になったのは発想の企画元。ひょっとして大手広告代理店?

 実は、広告代理店でもテレビ局でもない。日本陸上競技連盟や日本オリンピック委員会などの公的団体でもない。なんと企画元は、日本陸連の傘下団体(正確には加入団体)である“日本実業団陸上競技連合”なのだ。

 日本実業団陸上競技連合は公益財団法人ではない、企業の陸上競技部を取りまとめるいわゆる任意団体だ。そこから、1億円という破格の提案がだされたことが驚きだ。

 詰めていけばいろんな問題点はあるだろうが、まずは、大胆な企画提案を評価したい。

 確かに、マラソンを含めた長距離種目において、アフリカ勢には現状まったくといっていいほど歯が立たない。かつて、バルセロナからアテネまで4大会連続でメダルを獲得してきた女子マラソンでさえ近年は低迷の一途だ。

自国開催の東京五輪で、惨敗だけは避けたい。

 弱くなってしまったのはなぜか? 犯人探しをしても問題は解決しない。

 特定の選手のせいでも指導者のせいでもない。本格的な少子化を迎えた日本社会という時代の流れなのだ。

 とはいえ、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでのカウントダウンクロックは一秒も止まってはくれない。

 東京五輪では、願わくば日本が得意としてきた長距離種目でなんとかメダルを取りたい。少なくとも、自国開催のオリンピックで惨敗だけは避けたい。手をこまねいて見ているより、なんらかの打開策が欲しいという関係者の切実な気持ちの表れだろう。

 1億という数字は、選手のモチベーションを上げる“馬の人参作戦”といえる。

 選手にとって“1億円”のインパクトがどれほどのものか考えてみたい。

【次ページ】 マラソン界では、1億円の賞金は破格の数字。

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