Number on NumberBACK NUMBER

マラソンと箱根駅伝。
~五輪代表選手との関係性~ 

text by

小川勝

小川勝Masaru Ogawa

PROFILE

photograph byAFLO

posted2015/04/14 10:00

マラソンと箱根駅伝。~五輪代表選手との関係性~<Number Web> photograph by AFLO

箱根駅伝で「元祖・山の神」として活躍した今井正人。30歳で迎えたマラソン10レース目となる今年の東京マラソンで好記録を出し、世界陸上マラソン代表に内定した。

 今夏の世界陸上選手権、男子マラソンの代表が決まった。選考レースの結果から見れば、東京マラソンで2時間7分39秒を出した今井正人(トヨタ自動車九州)だけが評価に値する成績だった。

 福岡国際で日本人トップの藤原正和(Honda)は2時間9分06秒(辞退を含め通算3回目の世界陸上代表に決定)、東京マラソン日本人2位の佐野広明(Honda)は2時間9分12秒、そして雨の中、びわ湖毎日で日本人トップの前田和浩(九電工)は2時間11分46秒(通算4回目の世界陸上代表に決定)。社会人8年目、「元祖・山の神」の今井が花開いたことは明るいニュースだが、それ以外の候補は、選考レースの結果があまりにも平凡だった。世界クラスのレベルがどんどん上がっている中で、日本選手のレベルが停滞しているという状況は、ほとんど変わっていないと言える。

 2005年の世界選手権で尾方剛が銅メダルを獲得して以来、日本選手による世界大会でのメダル獲得はなく、2002年に記録された高岡寿成の日本記録2時間6分16秒も、破られていない。2時間6分台の記録自体が、高岡が記録して以来、誰もマークしていないのである。一方で世界記録は、'08年に2時間3分台が出たあと、'14年には2時間2分台が出ている。'14年は、2時間4分台と5分台が合計12人もいた。

駅伝は確かに長くても20km程度だが……。

 日本男子マラソンのこうした状況について、その原因に関する議論はいろいろ行なわれている。しばしば指摘されるのは、大学も実業団も駅伝重視で、計画性が必要とされるマラソンの練習になかなか集中できないという日本独特の事情だ。箱根駅伝も、マラソン選手の育成という面から見た場合には批判の的になることが多い。駅伝で1人の選手が走る距離は長くても20km程度。スタート直後の1区を除けば、集団で走ることも少ないため、駆け引きを経験する機会もあまりない。世界のトップ選手がマラソン練習に集中している中、駅伝中心では戦える選手は育ってこないという批判は、ある程度的を射ている。

 しかし男子マラソンの低迷の原因を、駅伝重視の陸上文化にだけ求めることができないのも、また事実である。それは、近年の五輪代表になった選手たちの、経歴と成績を見ても分かることだ。

【次ページ】 五輪以外でも世界クラスの記録を出した選手はいる。

<< BACK 1 2 NEXT >>
1/2ページ
関連キーワード
今井正人
世界陸上
箱根駅伝
オリンピック

ページトップ