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斎藤佑樹を下して以来、86連敗中。
六大学野球、東大に勝機はあるのか?
posted2015/04/09 10:40
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph by
The University of Tokyo Newspaper
今週末の4月11日から東京六大学野球、春のリーグ戦が幕を開ける。今季の、というよりここ数シーズン来の注目のひとつは「東大の連敗は止まるのか」という点である。
昨季終了時点で86連敗と史上最多記録を更新中。2010年10月2日、斎藤佑樹(当時4年)先発の早大を4-2で下したのが最後の勝利だ。その後、斎藤はドラフト1位で日ハムに入団し、2年目には開幕投手を経験。さらに右肩の故障、カムバックと数々の話題を振りまいてきたが、その間もずっと、東大野球部が勝利の歓喜に沸いたことは一度としてなかったのである。
100連敗が現実味を帯び、「脱退すべきでは」との声も。
6チームによるリーグ戦で1勝もせず、したがって順位に影響を及ぼさないチームは存在意義を問われることになっても仕方がない。酷な言い方だが、星勘定のうえでは「いてもいなくても同じ」ということになってしまうからだ。100連敗が現実味を帯びてきた今、「六大学から脱退すべきでは……」との声はあちこちから聞かれるようになった。
しかし逆に言えば、1勝でも挙げられさえすれば、そうした声を封じることができる。例えば2000年の春季リーグで、東大は明大を相手に唯一の勝利を挙げているが、明大はこの一つの敗戦によって勝率差で法大に優勝を譲ることになった。優勝争いに直接絡まなくとも、1974年の秋に“怪物”江川卓(当時法大1年)に土をつけ、1981年春には早慶両校から勝ち点を奪って初優勝かと世をにぎわせた“赤門旋風”を巻き起こしている。東大の勝利には、希少だからこそ強い輝きがあるのだ。