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「今は自分の存在価値を証明したい」
長谷部誠が得た理想のポジション。 

text by

寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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posted2015/03/20 10:40

「今は自分の存在価値を証明したい」長谷部誠が得た理想のポジション。<Number Web> photograph by AFLO

長谷部誠は、欧州でプレーする日本人の中でも屈指の安定感を誇る選手であり、過去10試合以下の出場で終わったシーズンは一度もない。

 ドイツでの8シーズン目を戦っている長谷部誠。

 昨季「守備的ミッドフィルダーとしてプレーしたい」と移籍したニュルンベルクでは、負傷による長期離脱で14試合にしか出場できなかったが、フランクフルトへ移籍した今季は出場停止だった1試合をのぞき、すべての試合に先発出場している。中盤の底に立ち、攻守にわたりチームの舵を握る任務を全うしている。

 長谷部が担うのは、相手の攻撃の芽を摘む守備的ミッドフィルダーの役割だけではない。攻撃の起点となる仕事も求められ、そのオーダーにも応えている。システム上では中盤の底、1ボランチであっても、その姿はセントラル・ミッドフィルダーと呼ぶにふさわしい。

 3月14日の第25節パーダーボルン戦では、完封勝利に貢献した。しかし、試合後に「今日は相手の攻撃のクオリティが高くなかったので、守備の面での評価は難しい」と語り、今季リーグでも下位の49失点(3月15日現在)と、攻撃力はあるけれど守備が弱い自チームの現実を見つめていた。下位チーム相手に、前線の選手は前へ行きたがる。しかし、守備に不安を抱える守備陣はDFラインを高く保つことに躊躇する。結果的に陣形が縦長に間延びしてしまい生じる危機。それを予期してなのか、センターサークル付近にポジションを取る長谷部が、激しく動く場面は少なかった。

 チームの中央でディフェンス陣に声をかけ、その仕草で守備を修正する。得点機を生むような縦パスを入れるシーンもあったが、ボールを触るプレーだけでなく、そのポジショニングや動きで、チームを機能させているように感じた。

 ドイツへ渡る前、思い描いていた日々。今やっと、そんな毎日を過ごせるようになった長谷部に3月19日練習場で話を訊いた。

ドイツ移籍当初、長谷部のポジションはサイドだった。

 浦和レッズで守備的ミッドフィルダーとしてキャリアを積んだ長谷部は、'08年に移籍したドイツでもその場所で経験を積みたいと考えていただろう。そうすることで、当時1年あまり遠ざかっていた代表への復帰が叶えられると思っていたはずだ。実際、ドイツ移籍半年後に岡田武史監督のもとでレギュラーに定着し、W杯南アフリカ大会、ブラジル大会と2大会連続でキャプテンとして活躍した。

 しかしドイツで彼がプレーしていたのは、中央のポジションではなかった。移籍当初は守備的ミッドフィルダーとしての起用が続いたが、徐々に長谷部の仕事場は、ピッチの中央からサイドへと変わっていった。監督が代わっても、中央でプレーする機会はなかなか訪れなかった。

【次ページ】 ユーティリティか、中盤での低評価か。

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