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古巣復帰の宮本恒靖が語る、育成で本当に大切なこと。
~欧州の指導法から得たものとは~ 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph byAFLO

posted2015/02/24 10:00

「人として決断力のある人間を育てたい」と語る宮本は現在S級ライセンス取得も目指す。

「人として決断力のある人間を育てたい」と語る宮本は現在S級ライセンス取得も目指す。

 元日本代表の宮本恒靖が古巣・ガンバ大阪のU-13コーチに就任したことに、驚く声は少なくない。

 というのも現役引退後にスポーツマネジメント専攻の大学院「FIFAマスター」を修了して以降、日本サッカー協会の国際委員、Jリーグの特任理事、FIFAのブラジルW杯テクニカルスタディグループなどと、世界と日本のサッカーをつなぐキャリアを進めてきたからだ。だが彼は、4年ぶりに「現場」に戻ってきた。それも育成年代の指導にこだわって。

 FIFAマスターでスイスに留学した際、ヨーロッパ流の指導法からあらためて感じ取ったことがあった。

「スイスで見た育成年代のチームは、ある程度自由にプレーさせていました。コーチと選手がちょっと大袈裟に言うなら対等に近い関係。指導者は上からばかりモノを言うのではなく、子供たちの自由な発想を消さないアプローチを大切にしていました。この年代にとって何が一番大事なのかを考えさせられました」

 日本サッカーが今、育成で過渡期を迎えているのは間違いない。昨年9月、U-16アジア選手権では準々決勝でライバルの韓国に0-2で完敗を喫し、U-17W杯出場権を逃がしたことは記憶に新しい。当該年代ばかりでなく下の世代をどう伸ばしていくか。その抜本的な改革を迫られている。

ピッチ内に限らず、判断力を上げていくことの大切さ。

 以前、宮本に話を聞いたとき「あくまで個人的な見解」と前置きしたうえでキーワードに挙げたのが「人間力」だった。

「プレーに自由な発想を持たせることは大切。そのアプローチは何もピッチ内に限った話ではないと思うんです。たとえば週末に子供たちを一日中指導するとしたら、頭のなかがサッカーばかりになってしまう怖れもある。午後は家族と過ごすのもいいし、勉強したり、友達と遊ぶのでもいい。いろんなものに興味を持てる時間をこちら側からつくってあげる。判断力を上げていくには、そういうことも大切になってくるんじゃないかな、と」

 ピッチ外のところから自分で考えさせる、判断させる、そして責任を持たせることの大切さ。自立を促進させる「人間力」の育みが、プレーにもプラスに結びつくのでは、と彼は考えている。

 育成の現場にどんな化学反応を起こすのか。宮本恒靖の新たな挑戦が始まる。

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