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本田圭佑がファンにギリギリの苦言。
苛烈なブーイングより愛情の叱咤を。 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2015/02/16 12:15

本田圭佑がファンにギリギリの苦言。苛烈なブーイングより愛情の叱咤を。<Number Web> photograph by AFLO

厳しい表情でスタンドに視線を送る本田圭佑。本田が感情を露にして話すことは決して多くない。ミランを取り巻く環境がそれほど厳しい、ということだろうか。

 エンポリ戦後の本田圭佑の言葉は、強い語気を孕んでいた。

「選手にプレッシャーをかけて、次の試合に勝てるのであれば、どんどんそうすればいい」

 本田は訴えていた。自分自身に、サポーターに。そして、おそらくチームメートにも。

 与し易しと思われていた昇格組エンポリとの23節で、ミランは1-1のドローに終わった。

 FWデストロの移籍後初ゴールで先制したリードを守れず、複数の負傷者と退場者を出した結果、何とか黒星を免れた、といった方が正しい内容だった。

 サン・シーロに、2月の冷たい霧雨が降っていた。

 前日会見で「残り16試合すべてを勝ちにいくと思わなければダメだ」と、チームに発破をかけた監督インザーギは、前節ユベントス戦から戦術改造した4-2-3-1のトップ下として、FWメネズを先発に選んだ。本田は、2列目の右サイドへ再びコンバート。1トップに入ったのは、出場停止処分明けのFWデストロだ。

「1回攻撃して100m近く戻る、では合理的ではない」

 底冷えする寒さのせいか、それとも12時半の試合開始に合わせて、9時半に前倒しして摂った昼食メニューが消化しきれていないのか(イタリアの食習慣上、午前中に塩分を含む食品を食べることは殆どない)、キックオフからミランの動きが鈍い。さらに開始7分の接触プレーでDFアレックスが鼻骨を骨折し、インザーギは早くも交代枠を1枚使ってしまった。

 20代そこそこの若手中心で編成されたエンポリにボールを支配され、ミランはじりじりと押された。ホームでの不甲斐なさに、ブーイングが飛ぶ。

 本田は、この試合でも自陣で守備のケアに忙殺された。俊足とはいえないDFラミをケアするため、22分には自陣の右SBの位置まで戻り、逆サイドへ懸命にクリアする場面があった。

 右サイドでボールを受けた16分、いざ攻撃のターンになっても、DFラミの上がりが極端に遅く、本田の前方に開いたスペースを活かすことはできなかった。本田がフリーで相手ペナルティエリア前に走り込んだ33分、今度はラミが出した縦パスのタイミングが合わない。試合後、10番は「1回攻撃して(セカンドチャンスを作れずに)また100m近く戻る、では合理的ではないし、もったいない」とふり返った。

 ベストパートナーだった右SBアバーテの復帰は、約2週間先だ。彼を含め、エンポリ戦に出られなかったミランの故障者は10人に上る。

【次ページ】 88分にミランは9人となり、耐えるのが精一杯に。

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