ブックソムリエ ~新刊ワンショット時評~BACK NUMBER

筋肉を捨てて、身体の声を聴く。
~平尾剛・著『近くて遠いこの体』~ 

text by

幅允孝

幅允孝Yoshitaka Haba

PROFILE

photograph byWataru Sato

posted2014/10/28 10:00

筋肉を捨てて、身体の声を聴く。~平尾剛・著『近くて遠いこの体』~<Number Web> photograph by Wataru Sato

『近くて遠いこの身体』平尾剛著 ミシマ社 1700円+税

 スポーツ科学の知見では掴み切れない、体というもやもやして曖昧なもの。その体の声に耳を傾け、対話するための一冊を書いたのは元ラガーマンだ。

 平尾剛は、神戸製鋼コベルコスティーラーズで日本一になり、'99年ワールドカップ日本代表にも選ばれた。だが、現役の晩年には多くの怪我に悩まされ、不本意な形での引退を余儀なくされた。細心の体のケアをしていたのにも関わらず取り返しのつかない形に壊れてしまった自身の体。その体に対する大いなる疑問を始点に、多方面から体を語るのが本書だ。

 現在は大学で身体論を教えるという彼は、ラグビーで深めた身体知を、僕らの日常にまで落とし込み、翻訳を試みる。

こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
NumberWeb有料会員になると続きをお読みいただけます。

残り: 340文字

NumberWeb有料会員(月額330円[税込])は、この記事だけでなく
NumberWeb内のすべての有料記事をお読みいただけます。

ラグビーの前後の記事

ページトップ