サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
技術も上、戦術も上……なのに敗退。
U-19が北朝鮮に勝てなかった理由。
posted2014/10/20 16:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty Images
5人目のキッカーとしてPKを外した南野拓実が呆然とした表情で仲間たちが待つセンターラインに向かって歩きはじめた。歩いている間、何度もうしろを振り返り、ゴールを悔しそうに見つめていた。
U-19アジア選手権、日本は準々決勝で北朝鮮にPK戦の末に敗れ、4大会連続でU-20W杯の出場を逃した。
今大会、ベスト8までの流れは決して悪くはなかった。初戦の中国戦は落としたものの、選手自らが「調子が上がらなかった」ことを自覚しての敗戦だっただけに、それほどショックはなかった。
ベトナム戦、韓国戦……日本は勝負強さを見せつけた。
2戦目のベトナム戦は「最後に詰めの甘さが出てしまった」と金子翔太が言ったように、後半終了間際にカウンターで1-1の同点に追い付かれた。ただ、ここから慌てなかったのは、9月のベトナム遠征(AFF NutiFood U19 Cup 2014)での経験が活きたからだ。その遠征では、オーストラリア戦で90分に同点に追い付かれたがアディショナルタイムに決勝点を奪って勝ち、ベトナムとも2試合を戦って、いずれも勝利していた。
アディショナルタイム、日本はギアを上げ、一気に2点を奪ってベトナムを突き放した。序盤からその勢いで戦えばもっと楽に勝てたとも言えるが、それでも土壇場で勝つところにチームの逞しさを感じさせる、勢いがつく勝ち方でグループリーグ最終戦につなげた。
韓国戦、グループリーグ突破には勝利しかないという追い詰められた中、日本は序盤から気迫を前面に押し出す戦いぶりを見せた。システムを4-2-3-1に変更、南野をトップ下に置く作戦が功を奏し、点を取るべき選手がゴールを奪い、守備の選手たちは体を張って相手を自由にさせなかった。そうして2-1で韓国を撃破した。
「チーム全員で、自分たちの戦いができたと思います」
自信たっぷりにそう言った南野の表情には、チームへの確固たる自信が表れていた。
ベトナム戦、韓国戦と良い勝ち方ができてベスト8へ良い流れが作れていた。