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“弱いロッテ”を変えた強気と度量。
里崎は最後まで「野球好き」だった。 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2014/09/30 10:40

“弱いロッテ”を変えた強気と度量。里崎は最後まで「野球好き」だった。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

引退セレモニー後、紙吹雪が舞う中でスタンドに手を振る里崎。ちなみにロッテが発売する「ビックリマン」の終身名誉PR大使に就任するなど、現役を退いてからもファンを楽しませてくれそうだ。

「今日1日だけ、なんとか頑張ってくれ」

 5月7日のオリックス戦。伊東勤監督は、左ひざ痛に悩まされていた里崎智也に先発マスクを被らせた。里崎も5人の投手を持ち味である臨機応変なリードで牽引し、打撃でも第3打席にライト前安打を放つなど勝利に貢献。指揮官の期待に応えた。

 しかし、この試合が実質、里崎にとってのラストゲームとなった。

 12日には左ひざのクリーニング手術を受けた。オールスター前の復帰を目指してリハビリに励んだが、それは叶わなかった。

「そろそろ潮時なのかな? と。気力に体力が追いついてこなかったのが、(引退と決断した)一番の要因だと思います」

 9月12日の引退会見。里崎は溢れ出す涙を拭いながら、自らの引き際を語った。

スタジアムにこだました「サットザキ!」コール。

 ロッテ一筋16年。里崎が残した足跡を称えるかのように、引退試合となる28日のオリックス戦には大勢のファンがQVCマリンフィールドに集結した。この日の観衆は3万76人。自由席も含め前売り券はすでに完売していた。

 サットザキ! サットザキ!

 CS進出が消滅したチームとは思えないほどの大声援がライトスタンドからこだまする。

「1番・DH」で臨んだゲームでは2打席連続三振に終わり、里崎はベンチへ退いた。史上10人目となる「全打順本塁打」の偉業をもって自身の花道を飾ることはできなかったが、それでも里崎は、晴れ晴れとした表情で試合を振り返った。

「1打席目からボールは見えていたんですけど、久しぶりの実戦だったから。2打席目はもう、『当たるも八卦、当たらぬも八卦』という感じで打席に立ちましたけど……。手術してから何もしていなくて、バットが触れるようになってからマシンを相手に調整してきたんですけどね、ダメでした、ははは」

 それでもファンは、結果以上に里崎の最後のユニフォーム姿をスタジアムで見られただけで満足している様子だった。

【次ページ】 ドラフト指名を受けたのは、18連敗の'98年だった。

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