SCORE CARDBACK NUMBER

真夏のトップリーグはディフェンスが命。
~パナソニックの堅守に見る戦略~ 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byNobuhiko Otomo

posted2014/09/21 10:30

真夏のトップリーグはディフェンスが命。~パナソニックの堅守に見る戦略~<Number Web> photograph by Nobuhiko Otomo

 ジュビロカラーの青に染まったスタジアムに、絶叫がこだました。9月6日のヤマハスタジアム。パナソニックに5点をリードされたヤマハ発動機が、自陣のピンチを守り抜いてPKを獲得。FB五郎丸歩が蹴ったボールは相手ゴールライン目前でタッチを出た。直後、タイムアップを告げるホーンが響く。泣いても笑ってもラストプレー。

 シビれる時間だ。ヤマハは逆転を狙い、決死のラストアタック。ラインアウトからBKも加わり12人でモールを押し、ロングパスでサイドチェンジ。ファンブルがあっても五郎丸が素早く戻ってボールを継続し、FWが頑健に突進する。

 しかし、パナソニックのディフェンスの網は崩れない。向かってくる相手には鋭く突き刺さる。ピッチでは常に会話が交わされ、危険なスペースは素早く誰かが埋める。結局、ヤマハの猛攻を14次攻撃まで止め続け、14-9の守り勝ち。

「前のパナソニックのディフェンスに戻った感じです」と言ったのはスーパーラグビー帰りのSH田中史朗だ。

「危ないスペースができたと思って僕が埋めに行く場面が、今日は少なかった。まあ昔は、もっと少なかったですが」

汗と湿気でボールが滑る真夏はディフェンスを重要視。

 パナソニックは今季、スーパーラグビーのクルセーダーズやオーストラリア代表を率いたロビー・ディーンズ新監督が就任。規律の高さとコミュニケーション力が支える堅固なディフェンスを進化させている。汗と湿気でボールが滑る真夏のトップリーグ序盤戦では、ディフェンスこそが勝負を分けるのだ。

 もっとも、シーズン王者を決める真冬の戦いは様相が一変する。攻撃の進化は必須だ。とはいえトップリーグは昨季から2ステージ制を導入。序盤戦に負けが込むと、プレーオフ進出を争う第2ステージの上位グループに進めない。暑熱の戦いをディフェンスで勝ち抜きながら、真冬に勝利をつかむためのアタック力、スキルを高めなければ最後に笑えない。

 敗れたヤマハ発動機の清宮克幸監督も「力は出せた。内容は悪くない。選手には『力はついたから、これからもっと上手くなろう』と話した」と前向きだ。

 第3節までの24試合を終えて、7点差以内の決着が半数の12試合。接戦ひしめくトップリーグ、半年後、真冬の勝者はどんな進化を遂げているのだろう。

関連コラム

関連キーワード
パナソニックワイルドナイツ
五郎丸歩
ヤマハ発動機ジュビロ
ロビー・ディーンズ
清宮克幸

ページトップ