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「本田のゴールは攻撃の理想形」
開幕戦勝利でミランに満ちる一体感。 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2014/09/01 16:30

「本田のゴールは攻撃の理想形」開幕戦勝利でミランに満ちる一体感。<Number Web> photograph by AFLO

プレシーズンから得点を量産していた本田圭佑が、開幕戦でもチームの今季初となる得点を決めた。「ミランの10番」がついにその真価を発揮しようとしている。

グラウンドで、選手と輪になってほえたインザーギ。

 ムンタリの2点目が決まったとき、本田やエルシャーラウィ、アバーテやアレックスらが飛びつき、ベンチの監督を呼び寄せる仕草をした。

 ルール上、監督がグラウンドの中に入るのはご法度だ。

 だが、感極まったインザーギはそのことを忘れた。運よく審判から処分はされなかったが「あのときは我を忘れてしまった」と、後に苦笑いした。

 おそらくサッカー人として正直すぎるインザーギは招きにのり、グラウンドに入って現役選手の一人にかえったように選手たちと輪になって吠えた。スーツ姿なのに、インザーギはユニフォームを着た選手たちと一体だった。

 インザーギを突き動かしているものは、きっと“指導者と選手の区別がついていない”とか“現役気分が抜けていない”とかいった安っぽい正論や外野の意見を超越したものだ。

 新しくやってきた外国人選手や若手、ベテランを問わず、選手全員に“新しいチームを作り上げる”という気概が満ちている。昨季までのミランにはそれがなかった。

 セリエA開幕節で、最もセンセーショナルな勝利を挙げたチームこそミランだ。

 新監督は「このチームはまだ自信をつけていく段階。プレーをコントロールする術を覚えていく必要がある。謙虚に続けていくことが大事だ」と驕らず、本田も「プロジェクトは始まったばかりで課題ばかり」と長いシーズンを見据えた。

 イタリア中のミランを見る目が、この開幕戦で変わった。まだ荒削りだが、まだ正体の知れない力を秘めている新生ミランが走り出した。

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