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藤浪晋太郎の課題は「投手の打席」。
巨人との頂上決戦で阪神が失った物。
posted2014/08/29 16:30
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
NIKKAN SPORTS
1.5ゲーム差で激突したGT首位決戦は、1勝1敗で迎えた第3戦を巨人が制し、結果的には阪神の“自力優勝消滅”という形で終わった。
3連戦の初戦と2戦目は消耗戦といってもいい試合展開だった。
8月26日の第1戦は、先発・メッセンジャーの好投から抑えのエース・呉昇桓を投入という阪神の勝ちパターン。ところが呉の乱調で巨人・原辰徳監督が「奇跡的」と称したまさかの逆転勝ちを収めた。
ところが第2戦はまったく逆の展開となった。巨人が初回の村田修一の3ランで主導権を握り、山口鉄也-マシソンという勝ちパターンに持ち込んだものの、その2人が阪神打線につかまった。そして最後はゴメスの一発で決着と、首位攻防戦に相応しい劇的展開だった。
そして1勝1敗で迎えた第3戦。結果的には阪神先発の藤浪晋太郎の「投手の打席」に対する意識の甘さが明暗を分けることになった。
不用意なストレートで澤村にタイムリー二塁打を浴びる。
勝負は2、3回の藤浪の投球と打席に集約される。
まず2回のマウンドだ。
2死一塁から藤浪が投手の澤村拓一に浴びたタイムリー二塁打は不用意のひと言に尽きる。初球の149kmの真っすぐが低めに外れた2球目。スッとストライクをとりにいったストレートがド真ん中に入った。これを痛打され、打球は左中間を破り一塁走者が一気に生還。そこからさらに3連打を浴びてこの回3点を失った。
「藤浪はああいうところがある」
こう嘆いたのは投手コーチの中西清起だった。
「澤村に対して甘い。スキを見せたらダメ。全力で抑えにいかないと。去年からそうなんだけど8番、9番に手を抜くところがある」
和田豊監督も「晋太郎の投手としての課題が出た」と立ち上がりの悪さと集中力が途切れる悪癖に首をひねった。