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HIROYAの弟、大雅が18歳で王者に。
Krushのリングが見せる残酷な輝き。

posted2014/08/29 11:00

 
HIROYAの弟、大雅が18歳で王者に。Krushのリングが見せる残酷な輝き。<Number Web> photograph by Takao Masaki

3-0の判定で勝利し、兄のHIROYAに肩車され喜ぶ大雅。無敗での王座獲得にも「こっからがスタート」とツイートしている。

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Takao Masaki

 Krushのリングは新陳代謝が早い。若い選手が次々とデビューし、勝ち星を重ねればトーナメントやリーグ戦などに参戦するチャンスが待っている。“観客論主体”のリングだから負けてもインパクトを残せば次につながるが、観客に支持されなければどんなベテランでも取り残されるリスクがある。

 今年に入るとタイトルマッチのシステムが変更に。チャンピオンの試合はすべてタイトルマッチとなった。調整試合や興行的要請からの“顔見せマッチ”がないということだ。タイトルマッチの回数が増えるから、挑戦者に抜擢される選手も多くなる。

55kg級の挑戦者に指名された、高校3年生の大雅。

 8月24日、恒例の名古屋大会(名古屋国際会議場)で、55kg級タイトルの挑戦者に指名されたのは18歳、高校3年生の大雅(たいが)だった。かつてK-1甲子園で注目されたHIROYAの弟である。

 一昨年11月にプロデビューした大雅は、22歳以下のトーナメント『YOUTH GP』で優勝。5月にトップ戦線入りをかけた鈴木優也戦にも勝利し、8連勝で挑戦権を獲得した。王者の瀧谷渉太は同級初代王者。一度は王座を返上したものの、今年1月の王座決定戦に勝ち、第2代王者になっている。つまりこのベルトは瀧谷しか巻いていない。また瀧谷は寺戸伸近、匠、戸邊隆馬と、トップ選手をことごとく破ってもいる。大雅の挑戦は時期尚早との声もあったが、可能性を評価しての抜擢だった。

【次ページ】 試合で大雅が見せたのは、可能性だけではなかった。

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