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世界大会V3でもRENAがリング上で泣かなかった理由。
~立ち技格闘技・絶対女王の矜持~ 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

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photograph bySusumu Nagao

posted2014/08/31 10:30

世界大会V3でもRENAがリング上で泣かなかった理由。~立ち技格闘技・絶対女王の矜持~<Number Web> photograph by Susumu Nagao

 2年に一度開催される立ち技女子世界一を決めるシュートボクシングのワンデートーナメント『Girls S-cup2014』(8月2日・東京)で、頂点を極めたのは大本命のRENAだった。これで2010年大会から3回連続の優勝だ。戦前は過去最強のメンバーが揃ったといわれていただけに喜びもひとしおかと思いきや、RENAは意外なほど冷静だった。

「もちろん優勝してうれしかったけど、その一方で自分が勝って当たり前という気持ちもあった。だから今回は初めて優勝しても泣かなかったんですよ」

 代わりに泣いたのは大会5日前。全ての調整が終わった直後のことだという。

「自分にも試合にも負けたくなかったので頑張るしかなかった。だから、もうこれで負けたら仕方ないというところまで自分を追い込んだんですよ」

 それにしても、なぜ涙を?

「今回はモチベーションを上げていくのが大変だったから」

アイドルのような笑顔を見せたRENAの苦悩と成熟。

 この大会を迎えるまでRENAは9連勝中。孤高の女王というべきポジションに就きつつあった。ライバルすらいなければ、闘う動機を見つけ出すのは難しい。世界大会では初めて日本代表はRENAひとりという状況だったが、最終的にそのプレッシャーすら彼女は味方につけたのだろう。1回戦で激突したシモーネ(オランダ)は今回闘った中では一番手応えのある選手だったが、試合開始早々、シュートボクシングでは重要な攻撃の要素である投げでポイントをとって判定勝ち。幸先いいスタートを切った。

 続く準決勝ではリーチ差をものともせず、クリスティーナ(オーストラリア)から左フックでダウンを奪って決勝へと駒を進めた。もう一方のブロックから勝ち上がってきたのは弱冠17歳ながらムエタイの世界王者ティーチャー(タイ)。タイミングのいい蹴り技に才能を感じさせるテクニシャンだったが、RENAの敵ではなく2Rに左フックで沈めた。

「うまい選手だけど、プレッシャーはシモーネの方が強かったし、懐はクリスティーナの方が深い。怖さはなかったので、技術で勝負しようと思いました」

 試合後、いつものアイドルのような笑顔を見せていたRENA。その裏には女王としての苦悩と成熟が隠されている。

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