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<34歳になった天才の帰還>
小野伸二が札幌の街とサッカーを変える。
posted2014/08/14 11:00
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Toshiya Kondo
日本サッカー史上最高級の才能を備えた男がJリーグに戻ってきた。18歳でW杯に出場し、欧州の舞台でも足跡を残した34歳の天才は、何故、いまさら新天地に札幌の地を選んだのか。スーパースターの出現に沸く北海道民の期待を一身に受け、小野伸二は新たな輝きを放つことが出来るのか。Jの舞台に戻ってきた“新人”の44番とコンサドーレが織りなす奇跡の相思相愛に迫る。
「お久しぶりっ」
日本復帰初戦となる大分トリニータ戦の前日練習、ピッチに上がる直前に目が合うとわざわざ近くまで歩み寄り、握手を交わした。顔を合わすのは2年ぶりだが日焼けした表情は以前よりも精悍さを増し、張り付いた練習着の上からは身体がかなり絞れている様子が窺える。
「また、あとで」
小走りでピッチに入るとドームの芝の感触を確かめるようにボールを蹴り、ダッシュを繰り返した。FK練習ではペナルティボックスの左端からゴールを決めた。傍で見ていた鈴木ウリセス通訳が「モノが違いますね」と、感心するように呟く。
練習後、財前恵一監督が口を開いた。
「経験のある選手なので何も心配はしていない。ゲームではボールを動かし、コーチングでもチームを引っ張ってほしい」
チームに合流して1カ月程度。指揮官も絶大の信頼を置いている。
注目はピッチ上だけではない。
デビュー戦となる試合の前売は好調で関連グッズの発売も決まった。この日も練習後にローカル局の生放送に出演した。