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負け続けて愛されたアイドルホース、
ハルウララに会いに行ってみた。
posted2014/07/26 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Akihiro Shimada
10年ほど前、何度負けても一生懸命走る姿が人々の共感を呼び、全国的なアイドルになった牝馬がいた。
高知競馬のハルウララである。
一般のニュースでもとり上げられ、応援ツアーが組まれたり、本やCDが出たり、映画にもなったりと、「ハルウララ現象」が起きたと言っていいほどのフィーバーぶりだった。
引退後しばらく消息がわからなくなっていたのだが、一昨年の12月から千葉県御宿町の牧場で余生を過ごしているという。
オグリキャップやディープインパクトとは別の意味で注目され、多くの人々に愛されたアイドルホースは、今、どんな日々を過ごしているのだろうか。
90連敗したころ、ハルウララブームがはじまる。
ハルウララは今年18歳。父ニッポーテイオー、母の父ラッキーソブリンという血統で、現役時代は高知の宗石大厩舎に所属していた。
1998年にデビューしたこの馬がさまざまなメディアで紹介されるようになったのは、2003年の初夏、未勝利のまま90連敗したころからだった。
同年12月14日、通算100戦目が行われ、100連敗を記録。応援ツアーが組まれるなどし、高知競馬場には4年ぶりに5000人を超えるファンが訪れ、熱い声援を送った。
この馬の単勝馬券は交通安全のお守りとしても人気があった。1着になることがないから「当たらない」というわけだ。
ハルウララブームが最高潮を迎えたのは翌'04年3月22日に行われた106戦目だった。「不可能」と言われていたJRA年間200勝を'03年に初めて突破した武豊を背に迎え、レースに臨むことになったのだ。