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オールスター、“主役”は不在の田中?
投手の故障というMLBの「社会問題」。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2014/07/17 10:40

オールスター、“主役”は不在の田中?投手の故障というMLBの「社会問題」。<Number Web> photograph by Getty Images

アメリカン・リーグのユニフォームをまとい、オールスターで揃って好投を見せた上原浩治とダルビッシュ有。メジャーで何年も投げ続けている、という彼らの実績はそれだけでも偉大なものなのだ。

 デレク・ジーターの最後のオールスターだと思うと、感慨深いものがあった。

「キャプテン・クラッチ」というニックネームを持つほどだから、最後のひのき舞台でド派手な活躍をしてくれるんじゃないか、と夢想したほどだった。

 そして1回裏、先頭打者のジーターは二塁打。3回裏にもライトへのヒットを放ち、2打数2安打という働き。

 いったん4回表の守備についてから交代という、いかにもアメリカらしい憎い演出があった。

 ジーターの存在があったからこそ、2014年7月15日のオールスターは実に盛り上がった。

 しかし、もし「ジーター最後の舞台」という触れ込みがなかったら、今年のオールスターも淡々と終わっていたのではないか(ジーターは来年も十分にプレーできそうだったが……)。

長期低落傾向にあった、オールスターの「市場価値」。

 メジャーリーグのオールスターゲームが初めて行なわれたのが1933年。以来、その「商品価値」は長期低落傾向にあった。要因としては、1997年にインターリーグが始まり、両リーグのチーム同士の対戦が珍しくなくなったことが大きい。

 そして昨季からは、かつてナショナル・リーグ中地区に所属していたヒューストン・アストロズがアメリカン・リーグ西地区に移って、各リーグとも15チームに。奇数では対戦が組めないチームが出てきてしまうから、常にインターリーグの試合が行われるようになった。

 NFLやNBAほどではないにせよ、メジャーリーグもまた「ひとつの大きな組織」のなかで優勝を争うようになっている。

 状況が著しく変化している中で、オールスターの価値が相対的に低下したのは仕方がないことだった。

 すでに1990年代から、ジャーナリストの間では、アメリカン・リーグとナショナル・リーグの対戦はやめて、「アメリカ生まれと、外国出身の選手の対決は?」などのアイデアが出されてもいた。

【次ページ】 真剣勝負か楽しむ場所か、という論争への1つの答え。

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