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法廷に舞台を移した“清武の乱”。
巨人お家騒動は「こどものけんか」? 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2014/06/13 10:50

法廷に舞台を移した“清武の乱”。巨人お家騒動は「こどものけんか」?<Number Web> photograph by Kyodo News

裁判では、巨人側が清武氏に1億円の損害賠償を求め、清武氏側が巨人と渡辺氏に6000万円の損害賠償を求めている。

『おとなのけんか』は一昨年、日本でも公開された名匠ロマン・ポランスキー監督の映画である。

 ブルックリンの公園で起こった子供のけんか。片方の少年が棒で相手を殴って前歯を折るケガをさせた。この「こどものけんか」の収拾のために、殴った少年の親が、殴られた子供の家を訪れる。最初は友好的に解決を図ろうと始まった2組の夫婦の話し合い。

 しかし次第におとなのエゴと欲がむき出しになって、それぞれが抱える不満や問題までもぶちまける事態となる。こどものけんかは収拾のつかない「おとなのけんか」となってしまうというストーリーだ。

 殴った子供の親夫婦をクリストフ・ヴァルツとケイト・ウィンスレット、殴られた子供の両親をジョン・C・ライリーとジョディ・フォスターという演技派の俳優が好演し、いかにも知的でセレブそうに見えた人々が、次第に本性を露にしていく。原作はトニー賞を受賞した舞台劇で、何とも滑稽で醜い「おとな」の本質を突いた佳作だった。

渡辺恒雄、清武英利、桃井恒和の3人が法廷で勢ぞろい。

 そんな滑稽な「おとなのけんか」を、つい最近、日本でも見た。

 6月5日。東京地裁の706号法廷。2011年11月に勃発したいわゆる“清武の乱”を巡る裁判である。

 この日は渡辺恒雄巨人軍最高顧問=読売新聞グループ本社会長・主筆と元巨人軍代表兼GMの清武英利氏、さらに桃井恒和巨人軍現会長の3人が、そろって証人として法廷に立ったのである。

 10時5分の開廷直後、裁判長に促されて、3人が並んで宣誓書を読み上げるという光景で始まった証人尋問。最初に証言台に立った桃井社長は、当時の清武氏と原辰徳監督の不仲を暴露した。

「2011年9月25日の昼過ぎに原監督から『失礼を承知でお聞きしますが、来年も清武GMをやらせるつもりですか』とメールがあった。甲子園のデーゲームの試合開始直前だっただけに、異常なことで、それだけ監督が追いつめられていると感じた。改めて二人の近くの人に聞くと、二人は以前のように話をしないし、遠征先でも席を同じくしない。気まずい関係になっていた」

 そういう関係の上で、原監督が清武氏の知らないところで、江川卓氏のコーチ招聘案を渡辺会長に直接、進言した経緯を明らかにした。

【次ページ】 足取りはおぼつかずとも、“ナベツネ節”は枯れず。

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