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“ホンダの秘蔵っ子”の
移籍が意味するもの。
~鈴鹿8耐4勝、清成龍一がBMWへ~ 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

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photograph bySatoshi Endo

posted2014/01/09 06:00

“秘蔵っ子”と言われた清成も、はや31歳。新天地で、もうひと花咲かせることができるか。

“秘蔵っ子”と言われた清成も、はや31歳。新天地で、もうひと花咲かせることができるか。

 ホンダの生え抜きライダーで、英国スーパーバイク選手権(BSB)でタイトルを3回獲得し、鈴鹿8耐で4勝している清成龍一がBMWに移籍する。

 '13年はサムスン・ホンダからBSBに参戦したが総合6位と低迷。UKホンダからシーズン中に契約更改がないことを通告されていた。そのため、ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC)は、モトGPマシンのテストライダーとしてオファーしたが、BSB参戦継続を望む清成は移籍を決断した。その後、UKホンダは、メインスポンサーのサムスンが降板、新しいスポンサー獲得を果たせず、来季のフル参戦の休止を発表した。

 なんとも複雑な話である。ホンダのワークス活動は、HRCがコントロールしているが、スーパーバイク世界選手権(WSB)、世界耐久選手権などはホンダ・ヨーロッパ、BSBはUKホンダが、それぞれHRCのテクニカルサポートを受けて独自に運営している。HRCは各カテゴリーの運営には関与せず、ライダーの決定権や参戦の有無も現地法人にまかせている。元締めたるHRCでも日本人ライダーを強くプッシュできないのが現状だ。今回、もし、HRCの力で清成を残留させたとしても、参戦休止という事態になり、ホンダからの参戦は実現しなかったことになる。

不遇を乗り越えて「もう一度しっかりレースがしたい」。

 この数年、清成を取り巻く環境は目まぐるしく変わった。'10年にはBSBで3度目のタイトルを獲得したが、総合6位に終わった'11年はUKホンダのシートを失った。'12年はホンダの意向で、カテゴリーとしては格下のアジア選手権に参戦してタイトルを獲得。'13年はUKホンダからBSB復帰を果たしたが、マシンのセットアップが決まらず、不完全燃焼のレースが続いた。しかし、真っ直ぐな清成に言い訳はなく、今回の移籍の理由をこう語った。

「結果が残らなかったのは、僕の力が足りなかっただけ。ホンダには感謝しているが、今年の成績でBSBへのチャレンジを終わらせたくなかった。もう一度しっかりレースがしたい」

 ホンダの秘蔵っ子とも言われた清成の移籍は、いまのレース界の厳しい現状を反映している。BSBで43勝。史上最多の4回目のタイトルを狙う清成のニューチャレンジに、多くの人が注目している。

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