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「至宝」が大器の片鱗を見せた1年目。
南野拓実が追いかける柿谷の背中。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAFLO SPORTS
posted2013/12/12 10:30
清武、柿谷と引き継がれてきた背番号13を背負う、南野拓実。世代別代表にも選ばれ、将来を嘱望される存在である。
セレッソ大阪は、最終節で浦和レッズに逆転勝ちし、4位でシーズンを終えた。
一時は優勝争いを演じたが、後半に失速し、惜しくも優勝は叶わなかった。だが、個々は大きく成長したシーズンだった。柿谷曜一朗が得点王争いを演じ、日本代表のエースに上り詰めた。山口蛍も東アジアカップ以降代表に定着し、今や第3のボランチとして遠藤保仁、長谷部誠の2強の間に割って入りそうな勢いである。その2人に引っ張られるように、今後のブレイクを感じさせる選手が頭角を現してきた。
それが、南野拓実である。
南野はセレッソユース出身で、昨年、高校3年生の時に大宮戦でデビュー。今シーズンは、小暮大器らとともにトップ昇格を果たし、柿谷の背番号13番を引き継いだ。開幕戦の新潟戦では、高卒ルーキーではクラブ史上初となる開幕スタメン入りを果たした。
「これから1年間、自分がどのくらいやれるのか楽しみです」
期待に胸を膨らませてシーズンに突入したが、Jリーグでの初ゴールは7月6日の磐田戦。「ちょっと時間がかかり過ぎですね」と、苦笑を浮かべたが、それはポジションの影響が非常に大きかった。
不慣れなサイドでのプレーに戸惑った。
クルピ監督は4-3-3のシステムを採用しており、基本的にトップ下を置かない。ユース時代、トップ下でプレーし「常にゴールを意識していた」南野にとって、不慣れなサイドに置かれたことが、初ゴールまで時間を要する原因になっていたのである。
「ユース時代は、サイドでプレーしたことがなかったので、最初は戸惑いました。試合をやっていてもゴールから遠いなって感じることがありましたし、守備についてもどうやっていいのか、分からないことがけっこうあったので、ちょっと考え過ぎてしまって……。だから、最初の頃は、自分の良さを出すのが難しかったですね」
南野のプレーが少しばかりふっ切れたように見えたのは、初ゴールを挙げた翌節の横浜F・マリノス戦だった。
「前半に曜一朗(柿谷)クンとパスを繋いで崩して、うまくアシストできたんですけど、なんか初めて自分が思うような展開が出来たんです。サイドでプレーすることが馴染んできたというか、少し自分の中で消化できるようになった。しかも、勝てたので、今シーズンで一番印象に残る試合でした」