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<ジョグの原点は狩猟採集時代?> 「Run」と「Jog」の違いを探る。 

text by

飯塚真紀子

飯塚真紀子Makiko Iizuka

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photograph byGetty Images

posted2013/11/26 06:00

<ジョグの原点は狩猟採集時代?> 「Run」と「Jog」の違いを探る。<Number Web> photograph by Getty Images

「ジョグ」という言葉が生まれたのはいつ?

 いったい、歴史はどう説明しているのだろう? ジョギングをスローペースな走り方とするなら、それは狩猟採集時代に遡る。当時、ジョギングは、日没後、狩猟採集を終えた人々が、動物に襲われないよう家路を急ぐための走り方であり、獲物を求めて長距離を移動するための走り方でもあった。速いペースで走るよりも、体力を維持することができるからだ。古代ギリシャ・ローマ時代には、ジョギングは心臓を鍛える効果があるという理由から軍隊の訓練に取り入れられ、中世には持久力を養うためのスポーツになった。

 語源を辿ると「ジョグ」という言葉が生まれたのは1540年代。ジョグには“揺り動かす”という意味があり、中世に使われた揺らすことを意味する「shoggen」の変化形と推測されている。16世紀からは、ジョグは“揺れるようなペースで歩いたり乗ったりする”という意味を持つようになった。

 19世紀、米国でジョギングは、ボクサーやフットボール選手、野球選手のコンディション作りのトレーニングに使われるようになる。

1960~70年代に大衆の人気を獲得したジョギング。

 ジョギングが大衆の人気を獲得し始めたのは、オレゴン大学の陸上コーチ、ビル・バウワーマンが、“フィットネスやレクリエーションのためのジョギング”という考え方をニュージーランドで提唱していたアーサー・リディアと一緒に走り、著書『JOGGING』でその考え方を紹介した1966年以降。社会的ストレスや運動不足に悩んでいた都市生活者を中心にその考え方は受け入れられ、70年代、ジョギングはお洒落なアメリカン・ポップ・カルチャーの波に乗って世界に広がっていく。

 ベアフット・テッドの友人で、5kmの雪上ベアフット・ランニングにて24分6秒(ギネス記録には30秒及ばなかった)という記録を誇るショーン・ガヴァー氏が明快に答える。

「ランニングとジョギングはよく混同されて使われているけど、明らかな違いがあると思う。決め手になるのは、そこに楽しさがあるかどうか。自分の肺に聞いてみるがいいさ。肺がハッピーならジョギングだし、そうでないならランニングなんだよ」

【次ページ】 ジョグとランの境界線は「楽しい」か「苦しい」か。

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