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3階級制覇に挑戦する、
リナレスが迎えた充実期。
~11・10、ダブル世界戦に登場~ 

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前田衷

前田衷Makoto Maeda

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photograph byBOXING BEAT

posted2013/10/31 06:00

3階級制覇に挑戦する、リナレスが迎えた充実期。~11・10、ダブル世界戦に登場~<Number Web> photograph by BOXING BEAT

8月のサンチェス戦では3度ダウンを奪い、TKO勝利を飾ったリナレス。

 11月10日、両国国技館で「ダブル世界タイトルマッチ」が開催される。帝拳ジムの主力2人が登場し、WBCバンタム級王者・山中慎介は8位のアルベルト・ゲバラ(メキシコ)相手に5度目の防衛戦。ホルヘ・リナレスは、世界3階級制覇を懸けてWBAライト級王者リカルド・アブリル(キューバ)に挑戦する。

 山中とリナレス、そして前座に出場するローマン・ゴンサレスに粟生隆寛と、目の肥えたファンを意識した人選だが、ここではリナレスに注目したい。

 ベネズエラ出身で、ボクサーだった父の指導を受けて6歳からリングに上がると、「ゴールデンボーイ」と期待された。そして帝拳ジムと契約して来日し、見事にKOデビューしたのは17歳のとき。辰吉丈一郎の前座6回戦だった。

 スピードとスキル、カンの良さ、パンチの切れ――当時からどれをとっても抜群だった。エリート選手が揃う帝拳ジムでも「ホルヘは別格だから」と、銀のスプーンを咥えて生まれてきた男に対し、周囲は敬意と羨望の念を隠さなかった。リナレス自身も「3階級世界チャンピオンになる」と大きな野望を掲げ、それは時間の問題と思われた。

井岡一翔と村田諒太を教える名コーチの指導で変化が。

 しかし、ことはそう簡単には運ばない。フェザー級('07年)、スーパーフェザー級('08年)の2階級までは難なく奪取したが、ここで挫折を味わう。'09年に代々木第二体育館で行なわれた2度目の防衛戦で、メキシカンの伏兵フアン・カルロス・サルガドの一撃に不覚の初回ストップ負け。2年8カ月ぶりの日本のリング、「僕のファン、日本が一番多い」という国での凱旋試合で、天才も精神面における弱点をさらす結果となった。

 その後ライト級に上げ、一昨年アントニオ・デマルコとのWBC王座決定戦、続くセルヒオ・トンプソンとの挑戦者決定戦と連敗。しばらく日本で試合をしなかったこともあり、気の早いフアンはリナレスを「過去の人」と考えているかもしれない。

 しかし、2月にラスベガスでイスマエル・サラストレーナーの指導を受け始めてから、リナレスに変化が起きている。サラスはアマチュア世界最強キューバのコーチからプロに転じ、何人も世界王者を育てた名コーチ。井岡一翔も子供の頃から指導し、今は村田諒太も教える。

【次ページ】 来日から11年、ベテランが取り戻した抜群の安定感。

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