フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
GPファイナルでは「金」も獲れたはず!?
フィギュア日本男子陣の大きな課題。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2010/12/13 12:00
「正直に言えば、痛みはちょっとあった」(高橋大輔)。
高橋自身、試合の翌日にこう語った。
「正直に言えば、痛みはちょっとあった。でも大怪我をしたわけでもなく、打撲くらいのもの。あの程度の事故は影響がないくらいの精神力、体力を作っていかなくては」
この2人を抜いて、SPでトップにたったのは織田信成だった。4回転+3回転の連続ジャンプをきれいに成功させて、86.59という高得点を手にした。
「ほかで得点が伸びない自分には、勝つために絶対に4回転が必要」と思っての判断だったという。だがその織田も、フリーでは2度の転倒があり、パトリック・チャンに逆転された。
チャンといえば、長い間「この採点方式で勝つのに、4回転は必要ない」と言い続けてきた選手である。実際彼は4回転を跳ばないままに、2009年、2010年の2度、世界選手権で銀メダルを手にしてきた。
だがこの大会で、チャンはSP、フリーともに4回転を挑み、フリーでは成功させている。
4回転ジャンプがハイリスク&ローリターンではなくなった!?
「4回転がなくても勝つのは可能だとまだ思っている。でも自分でやってみると、4回転はリスクが高いけれど、成功したときの爽快感がたまらないジャンプ。できる選手は入れるべきだと思うし、自分も挑戦していて楽しい」と余裕のコメントをした。
こんな余裕あるコメントができるのも、今季からジャンプの判定ルールが緩和されたためである。
昨年度までは、ジャンプの回転は4分の1以上足りないと1回転足りないジャンプのポイントしかもらえず、さらに減点を受けていた。4回転はハイリスク、ローリターンと言われ、挑戦する選手が年々減ってきている風潮を危惧した国際スケート連盟が、解決策をひねり出したのである。
今季からは、同じ回転不足でも段階に分け、回転不足の度合いが4分の1から2分の1までなら70%のポイントがもらえる、というようにルールが改定された。