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世界選手権に黄信号の浅田真央。
笑顔を奪ったバンクーバーの余波。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAtsushi Hashimoto

posted2010/12/23 08:00

世界選手権に黄信号の浅田真央。笑顔を奪ったバンクーバーの余波。<Number Web> photograph by Atsushi Hashimoto

世界選手権を2度制覇、GPファイナル優勝2回、全日本選手権4連覇中、バンクーバー五輪銀メダル……凄まじい成績を誇る浅田真央にかかるプレッシャーは想像を絶するものであるはずだ

 12月24日から、フィギュアスケートの全日本選手権が長野で行なわれる。

 来年3月に東京で開かれる世界選手権の代表選考をかけた大会だ。とくに女子は、激しい選考争いが予想されるが、注目を集める一人が浅田真央である。今シーズン、かつてないほどの不調に苦しみ、世界選手権に出場するためには、あとがない状況に追い込まれている。

 日本女子の出場枠は3人。選考基準は、グランプリシリーズにおける成績の日本勢上位3人、全日本選手権3位以内、全日本選手権が終了した時点での世界ランキングの日本勢トップ3のいずれかを満たした選手から、総合的に選ばれる。日本スケート連盟の橋本聖子会長が、「(代表選考で)大事なのは今シーズンの成績」と語っていることを考えても、現時点で有力なのは、グランプリ(GP)シリーズで3位と優勝、先日のGPファイナルで3位となった村上佳菜子、GPはともに2位、GPファイナル4位の鈴木明子、GPで連勝しGPファイナル5位の安藤美姫となる。

 一方、浅田はGPで8位と5位。ファイナル進出も果たせなかった。成績もだが、浅田の代名詞のように言われてきたジャンプの失敗が目立ったこともあって、その不調ぶりが大きくクローズアップされてきた。全日本選手権で相当の好成績をあげなければ、世界選手権の代表入りは厳しい状況もあり、いやが上にも注目が高まっているのだ。

ジャンプの抜本的改革に取り組む今季は将来への土台作り。

 ただ、よくよく考えれば、今シーズンは、浅田がジャンプの矯正に本格的に乗り出した年である。ジャンプの質の問題は、以前から指摘されてきた。バンクーバー五輪が終わった今、ようやく抜本的に手がつけられるようになったのだ。「矯正には2年かかる」とも言われることを考えれば、やむをえないのではないか。

 また、オリンピックの翌シーズンは、休養にあてる選手は決して珍しくない。休養はしないまでも、目先の勝負にこだわるのではなく、将来を見据えた土台作りにあてる選手も少なくはない。

 例えば、競泳の北島康介は、2004年のアテネ五輪の翌年、国内大会でも敗れるほど苦しんだし、北京五輪後には一時、第一線を離れ、今年になって復帰を果たした。

 ソフトボールの上野由岐子は、北京五輪の次のシーズンから、引退後を考えて指導者になる勉強のために日本代表を離れた。

 レスリングの伊調馨もまた、北京五輪後休養を取っている。

 バンクーバー五輪後にも、モーグルの上村愛子が今シーズンをまるまる休養にあてているし、カーリングの目黒(現金村)萌絵もまた、「ゆっくり考えたい」と、いったん現役を退いている。

 海外でも珍しいことではない。棒高跳のイシンバエワは、「大きな大会の前に必要だった」と、今年を休養に充てたのはその一例だ。

【次ページ】 五輪の激戦を振り返れば、ひと息つきたくなるのも当然。

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