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楽天を常に前進させ優勝に導いた、
AJ&マギーの計り知れない貢献。  

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/09/27 12:00

楽天を常に前進させ優勝に導いた、AJ&マギーの計り知れない貢献。 <Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

ジョーンズと共にスタンドのファンに挨拶をして回っていた田中。メジャー生活17年のうち14回の地区優勝を経験しているジョーンズは、まさに“優勝請負人”の面目躍如。

負けられない試合で決して負けなかった田中。

 そして、それ以上に田中を評価したいのは、彼は負けられない試合で負けなかったことだ。

 例えば、5連敗で迎えた8月23日の2位・ロッテ戦。ゲーム差はわずか2.5。関係者が、「ここで田中が負けるようなことがあれば、ズルズルと連敗が続いてしまう」と危惧するなか、田中は7回無失点と役割を果たしチームに勝利をもたらした。結果、首位攻防戦を3連勝。窮地を救う投手が絶対エースだと言わんばかりに、田中は本領を発揮したのだ。

 そんな絶対エースが、勝利のたびに言っている言葉がある。

「味方打線に助けられた」

 圧巻の投球は続けている。だが、それだけでは勝ち続けられなかったことを彼は知っている。だからこそ、毎回のように打線を讃えるコメントを残すのだ。

安定した打線を支えた「外国人コンビ」の貢献。

 チーム591得点と打率2割6分8厘はともにリーグ2位。本塁打数も3位の95本と、安定した打線も優勝の大きな要因となったことは言うまでもない。

 打率3割2分。3番に定着し大ブレークを果たした銀次をはじめ、夏場からスタメンを勝ち取り、規定打席未到達ながら3割をマークする岡島豪郎など若手の台頭も目立った。

 それでも打線の殊勲者は、ジョーンズとマギーの「外国人コンビ」と言いたい。

 今季の統一球が「飛ぶボール」に変わっていたとはいえ、ふたりだけで昨季の52本と同数の本塁打を記録する。しかもマギーは、走者を置いて15本塁打、一発のみで稼いだ打点51はともにリーグ最多。ジョーンズにしても、同じ条件で12本塁打、44打点をマークしている。

 長打に注目が集まりがちなふたりではあるが、称賛すべき点はむしろ、本塁打を捨てられるところにあった。

「大事な場面、1点でも多く取るためならホームランはいらない。自分のスイングをしてヒットになればそれでいいんだよ」

 シーズン中、マギーは自身の打撃についてそう述べている。日本独特の変化球中心の配球などを丹念に研究することで、1年目から結果を残すことができたのだ。

 ジョーンズもそうだ。優勝を決めた26日の試合、2点ビハインドと敗色がちらつき始めた7回2死満塁から、コンパクトなスイングで打球を右中間に運び、決勝点を演出。彼はこの一打を、「ランナーを還すことだけ考えていた」と振り返った。

 今季、叩き出した勝利打点はともに12。リーグトップが14点であることを考えると、マギーとジョーンズがどれだけチーム打撃を心掛けているかを理解することができる。

【次ページ】 前向きな姿勢を持続できた理由とは?

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