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かっこ悪くても、キヨシにいてほしい!
CSを逃したDeNAの監督辞任騒動。 

text by

村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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photograph byHideki Sugiyama

posted2013/09/28 08:02

かっこ悪くても、キヨシにいてほしい!CSを逃したDeNAの監督辞任騒動。<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

監督とはとかく批判されるもの。ファンから続投を望む声があがることはそう多くない。中畑監督はその声とどう向き合い、どんな結論を下すのだろう。

 CSを逃せばこうなることは覚悟していた。

 9月24日、阪神に6-1で敗れたベイスターズはクライマックスシリーズ進出の望みが絶たれ8年連続Bクラスが決定。3位どころか、気が付けば最下位も見える状態となった。

 試合後の囲み取材でCS消滅を報道陣に問われた中畑監督は、「それに向けて頑張って来たけど、力及ばず。私を含めチーム全体の力が及ばなかった。私の中で決意を持って挑んだシーズン。やるべきことをやってきた。最後まで責任を全うしてその後は考えられない。来季のことは考えていない」と言い、来季続投の意思があるかを問われると、「まったくの逆。責任を取らなきゃいけないと考えている」と今季限りで辞任する考えがあることを示唆した。

 昨年10月8日。横浜スタジアム最終戦。試合終了後のセレモニーでグラウンド中央に立った中畑は、5年連続最下位に終わったお詫びと来シーズンへの覚悟を満員のファンの前でこう誓っていた。

「もう、DeNAベイスターズの弱さはじゅーーぶんにわかりました。何が足りないのか! 何が必要なのか! 十分わかっております! あとはDeNAフロント、そして現場と、共に最高の準備をこのオフにし、来季は、ファンの皆さん、一緒にクライマックスを戦いましょう! やりましょう! それができなければ私はクビです。それをお約束して御礼の言葉に代えさせていただきます。ありがとうございました!」

前代未聞の「4位以下なら監督辞任」という公約。

 最終戦スピーチでの「CSを逃したらクビ」という前代未聞の公約は、後に球団上層部から「自分で進退を勝手に決めるな」と怒られてしまうほど、唐突に出た発言であり、そして、中畑清の今季に懸ける思いの根本にあるものだった。

 この際に、中畑は5年連続最下位に沈んだベイスターズに足りないもの、必要なものが十分にわかったと言っている。それは何だったのか。こんなことを言っている。

「このチームは妥協点が低い。勝負の中で勝ちたいという意識が薄いと感じる。それぞれに力はあってもそれをひとつの目的意識の中に結束させられない。力が分散していると、個々が頑張っても弱い鉄砲のまま。それを選手個々を『勝ちたい』『なにがなんでもCSに出たい』というひとつの目的意識の中に落とし込めば、ビシッと自分の役割を言える選手ができてくる」

【次ページ】 目標だった“諦めない野球”は実践できたのか?

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中畑清
横浜DeNAベイスターズ

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