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止まないマルケス旋風。
新時代の幕開けを目撃せよ。
~モトGP史上初、新人で5勝の衝撃~ 

text by

遠藤智

遠藤智Satoshi Endo

PROFILE

photograph bySatoshi Endo

posted2013/09/12 06:00

当初は驚異的だった“ヒジ擦り”もいまやお馴染みの光景に。アグレッシブさは天下一品だ。

当初は驚異的だった“ヒジ擦り”もいまやお馴染みの光景に。アグレッシブさは天下一品だ。

 スーパールーキーのM・マルケスが、チェコGPに勝利して破竹の4連勝を達成、最高峰クラスのルーキーとしては史上初のシーズン5勝目を挙げた。デビュー2戦目のアメリカズGPでは、史上最年少で優勝し、世界中の注目と話題を集めた。その後は、表彰台に立つもなかなか勝てなかったが、第8戦ドイツGPで2勝目を挙げて総合首位に浮上。さらに、USGP、インディアナポリスGP、チェコGPと連続優勝し、遂にチャンピオンの大本命に浮上した。

 ドイツは、2連覇を狙うJ・ロレンソと初タイトル獲得に闘志を燃やすD・ペドロサがケガのために欠場、USは2人が万全の体調ではない中での優勝だった。しかし、夏休みを挟んでのインディアナポリスとチェコでは、巻き返しに気合十分だったチャンピオン候補の本命2人を完全に抑えての優勝。マルケスのチャンピオン獲得が、いよいよ現実味を帯びてきたことを感じさせた。

 11戦を終え5勝10回の表彰台。周囲の予想を遥かに凌ぐ成長ぶりだ。何よりファステストラップが8回というのが、マルケスの凄さと学習能力の高さを証明している。ファステストラップとは、レース中のベストラップのことだが、マルケスはいつも強豪とバトルすることで何かを学び、レースを終えたときには誰よりも速く走っている。

夏休み明けの2戦では余裕のレース。

 その典型が、モトGPマシンで初めて雨のレースを戦った第4戦フランスGPだった。ぶっつけ本番の雨の中、マルケスはPPスタートから何度も転びそうになりながら大幅に順位を落とした。しかし、みるみるうちにウエットの走りを習得して3位表彰台に立ってしまったのだ。

 転びそうになってもそれを立て直してしまう見事なバランス感覚。それを何度か繰り返すうちに走りを掴んでしまうスキルの高さ。ペドロサとロレンソという最大のライバルを従えてフィニッシュした夏休み明けの2戦では、中盤までトップグループの中で力を温存し、終盤にかけてペースを上げて逃げ切るという余裕を感じさせるレース内容だった。

 早くも追われる立場になったマルケスだが、後半戦は得意とするコースが続く。ミスをしなければ、タイトル獲得は間違いない。若き天才ライダーの時代は、もう始まっているのかも知れない。

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