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自伝執筆のピケに届いた
英国の恩師からの助言。
~老将と若きスペイン代表の絆~ 

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

PROFILE

photograph byShin Toyofuku

posted2010/11/07 08:00

23歳の若さで自伝を出版したピケ。その印税はユニセフなどの慈善団体に寄付するという

23歳の若さで自伝を出版したピケ。その印税はユニセフなどの慈善団体に寄付するという

 今春にバルセロナで刊行され、話題になっている一冊の本がある。

『Gerard Piqué, Viatge d'anada i tornada』

 バルセロナとスペイン代表のセンターバック、ジェラール・ピケの自伝だ。

 カタルーニャ語とスペイン語で同時出版された同書は、現在バルセロナ市内のどの書店を巡ってもスポーツコーナーの目立つ場所に置かれており、版元によると売れ行きも好調だという。

 話題になっている理由の一つが、同書がピケ自身の手で書かれたものであるということだ。 通常、サッカー選手や監督の自伝は、プロの書き手が本人に話を聞き代筆することが多い。しかし同書はピケの意向で、彼自らがペンをとり執筆したそうだ。本人の手で直接綴られているだけに、その内容も生き生きとしている。

 ピケがバルサのカンテラにいた頃に、マンチェスターUのファーガソン監督とアーセナルのベンゲル監督が繰り広げた水面下の激しい獲得合戦。ホームステイで始まった曇り空のマンチェスターでの日常。そして同世代のC・ロナウドやジュゼッペ・ロッシとの友情――。

 そんな彩りある内容が好調な売れ行きの最大の理由だろう。

ファーガソン監督が海外出版をアドバイス。

 さてこの本、バルセロナから遠く離れた英国にも意外な支持者がいる。それがピケのかつての恩師ファーガソン監督だ。

 ふたりの繋がりは深い。'04年、老将はマンチェスターに来たばかりの17歳の若者を可愛がり、自ら彼の住居探しまで手伝ったという。ピケはそんな恩師のことを「ファーガソンは僕のもうひとりの父親」と言っている。

 同書を書き上げると、ピケは真っ先に一部をマンチェスターの恩師の下へと送った。翻訳されたものを読んだファーガソンはそれをいたく気に入り、ピケに「英語版を出版すればイギリスでもきっとうまくいく」と、海外出版のアドバイスまでしたそうだ。もし英語版が出版されれば、本の冒頭にファーガソンによる推薦文掲載も検討されるという。

 ピケはマンUで定位置を確保することはできず、バルサへと戻っている。ピッチ上では異なる道を歩むことになったふたり。しかし一冊の本を通して、彼らの関係はいまもしっかりと繋がっている。

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