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ウルトラトレイル・マウントフジ。
サポートから見た100マイルの世界。
~第2回UTMF密着ドキュメント~ 

text by

山田洋

山田洋Hiroshi Yamada

PROFILE

photograph bySho Fujimaki

posted2013/07/18 06:00

ウルトラトレイル・マウントフジ。サポートから見た100マイルの世界。~第2回UTMF密着ドキュメント~<Number Web> photograph by Sho Fujimaki

女子優勝を飾ったクリッシー・モール。自らをサポートしてくれた友人とのゴールは温かい拍手に包まれた。

 今年で2回目を迎えたウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)。日本が誇る霊峰・富士山の周りの山岳地帯をぐるっと100マイル(161km)走破する大会が4月26日から3日間に渡って行われた。

 累積標高はエベレストを超える9164m、制限時間は46時間。このレース規模はアジア最大級であり、参加者が40という多くの国から集まったことで、開催2回目にして世界的レースへと大きく飛躍したと言えるだろう。

 

 100㎞以上の山道を駆け抜けるウルトラトレイルの世界は、チームメイトがいるわけでもなければ、コートの向こう側に対戦相手がいるわけでもない。そしてスタンドに観客もいなければ、監督やコーチが常に指示を出してくれることもない。

 数100人のランナーが、山岳地帯を一昼夜以上走り続けるため、一般のマラソン大会とは違い、そのほとんどの時間を周囲に誰もいない状況で走ることになる。また、肉体的、精神的なダメージはもちろん、山岳地帯特有のトラブルや天候の悪化など、レース中に起こりうるあらゆる問題に自ら対処することが求められる。極めて過酷で、孤独なレースと言えよう。

「何かお返しをしたい」と考え、サポート役を買ってでる。

夜間、ヘッドライトをつけて山道を走っていくランナーたち。

 昨年の第1回大会で完走した僕は(その様子はこちらの体験記にまとめました。 )、仲間たちのサポート役を買って出た。昨年、走りながらサポートのありがたみを感じ、今度は僕が何かお返しをしたいと考えていたからだ。

 UTMFには10のエイドステーションと、2つのウォーターステーションが設けてある。エイドステーションでは食料と飲料が、ウォーターステーションでは飲料のみが用意され、選手はここで休息をとりながらゴールを目指す。

 公式ルールとして12のステーションの内、指定された9カ所に限り「プライベート・サポート」が許されている。選手の家族や友人、ランニング仲間やチームメイトが一定の約束事のもと、常に先回りして待ち構え、選手のお世話をすることが出来るのだ。

「サポート」と言われてもピンと来ない人が多いかもしれない。

雄大な自然に1人で立ち向かうと生身の「自分」がさらけ出される。

 サポートの仕事は、各エイドで選手を待ち受け、ザックを肩から降ろしてあげたり、水や行動食の入れ替えを行い、お気に入りの食べ物を準備し、ゴミを預かり、絆創膏やテーピングを差し出したりといったことをこなしていくこと。

 また、選手がこれから向かうコースをガイドするのも重要な仕事だ。距離や標高差、足場の悪さなどの注意点を伝え、夜間であればヘッドライトの点灯確認を手伝ったり、ストックの組み立て・片付けなどを行なう。こういった物理的な面はもちろん、「あそこまで走れば仲間が待っている」という安心感は精神的な大きな支えとなる。

 優勝を狙うトップ選手だけでなく、出場する全ランナーに適用されるこのサポートシステムがUTMFの1つの特長であり、参加者以外の視点からトレイルランニングを描くことで、このスポーツの魅力を考えてみたい。

【次ページ】 海外のトップランナーも日本のスーパーで食料を調達。

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