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広島を救う丸佳浩。
6年目の“打撃開眼”。
~契機は「前田智徳をお手本に」~ 

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永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

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posted2013/06/15 08:00

広島を救う丸佳浩。6年目の“打撃開眼”。~契機は「前田智徳をお手本に」~<Number Web> photograph by KYODO

 勝率5割を切り、リーグ下位に低迷する広島にあって、気を吐いているのが6年目の丸佳浩だ。盗塁はリーグトップの19、打率3割4厘(6月13日時点の成績)はリーグ6位と存在感を示している。

 千葉経大付高から'08年に高校生ドラフト3巡目で広島に入団。1年目からウエスタン・リーグで月間MVPを獲得するなど才能を垣間見せたが、一軍初出場は3年目だった。小学校のときの作文に、理髪店を営む両親のために、“新しい店を建てたい”と書いた男は'10年に一軍定着を果たすと、「家を新築できるチャンスができた」と涙を流したという。

 その後、レギュラーの座を掴み、中心選手となることを期待されたが、'12年には出場機会が減ってしまう。悩める丸に意識改革をさせたのが、今季から打撃コーチを務める新井宏昌だ。オリックスの二軍監督時代から丸のバッティングに注目していた新井は、秋季キャンプでこんなアドバイスを送った。

「広島には前田智徳というお手本がいるじゃないか。パワーとは力プラススピード。最短距離でバットを出して、コンパクトなバッティングをしようじゃないか」

新井コーチと取り組んだ打撃改造が結実し、交流戦でも好調を維持。

“どうしても一番になりたい性格だから”と語る丸は、通算49本塁打を放った高校時代のイメージから脱却できずに苦しんでいたのかもしれない。新井コーチとともに打撃改造に取り組むことを決断すると、オープン戦で打率3割2分1厘と結果を出した。

 そして迎えた今シーズン。初の開幕スタメンの座を勝ち取ると、いきなり2安打の活躍を見せた。2戦目では、ライバルと意識する同学年の巨人・菅野智之と対戦。「相手はエリートだけれど、必死にぶつかっていきました」とハングリーさ全開で挑んで2安打と、絶好のスタートを切った。交流戦に入っても、5月26日の楽天戦で左腕の金刃憲人から2ランを放つなど、好調を維持。野村謙二郎監督も「広角に打てるのがいい」と信頼を寄せている。

 広島の選手育成には“高卒ルーキーの場合、4年で一軍に上がれない場合は野球に見切りをつけさせて、別の世界にチャンスを求めさせる”という方針がある。一見、冷徹に見えるこの方針を“球団の親心”と受け取って頑張った丸だからこそ、今があるのだ。

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