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グリズリーズを買収した
若き億万長者の見る夢。
~元アップルのエンジニアがNBAに~ 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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photograph byGetty Images

posted2013/01/14 08:00

グリズリーズを買収した若き億万長者の見る夢。~元アップルのエンジニアがNBAに~<Number Web> photograph by Getty Images

今季グリズリーズはエースのランドルフの好調もあり、西地区で上位争いを展開している。

 メンフィス・グリズリーズの新オーナー、ロバート・ペラは、人生において、こうと思ったことには迷わず飛び込んできたという。ハードウェアのエンジニアとして2年間勤めたアップルを辞め、独立したときもそうだった。

「バスケットボールに喩えると、アップルでの僕はベンチの12番目の選手だった。自分ではもっとできると思っていたけれど、その機会がなかった」と、独立に踏み切った理由を語る。通信ネットワークが整備されていない地域をターゲットとする無線ネットワーク製品の会社、ユビキティ・ネットワークスを立ち上げると順調に業績を伸ばし、'11年秋に株を一般公開。33歳の若さで億万長者となった。

 去年6月にグリズリーズ買収を決めたときも、決断は早かった。

 元々、大のNBA好きで、ウォリアーズのシーズンチケット・ホルダーだったこともある。自分でも週に数回ピックアップゲームを楽しみ、専属トレーナーをつけてトレーニングするほど熱心だ。身長190cmでダンクもできるらしい。NBAチームのオーナーになることは昔からの夢で、その夢が実現可能になると、買収候補チームを検討し始めた。最初にメンフィスを訪れ、本拠地のフェデックス・フォーラムを見て回って10分で買収を決めたという。

「スタジアムの雰囲気がすばらしかった。チームが、地元コミュニティの中心であるということも心に響いた」と言う。

大都市への本拠地移転を恐れていたメンフィスの人々だったが……。

 さらに、そこに自分が大事にしている価値観をも見出した。

「ユビキティはデジタル機器で世界中の隔離された地域の人々を繋ぎ、世界を変えたいと思ってやってきた」とペラは言う。「グリズリーズで地元コミュニティに関わり、子供たちを勇気づけ、人々の人生を変えることができたらすばらしい」

 実はこの数年、メンフィスの人々は、グリズリーズが地元を離れ、より大きな利益が見込める大都市に移ってしまうのではないかという不安におびえていた。しかしペラの言葉や情熱は、彼らを安心させ、期待を高めるには十分だった。

 地元紙のコラムニストは、新オーナーの言葉を聞いて、こう書いた。

「若いということは、それだけ大きな夢を見るものだ。でも、それはいいことのはずだ。そうだろう?」

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